November 7, 2018 / 5:33 AM / 12 days ago

米中間選挙は民主が下院奪還、ねじれ議会に:識者はこうみる

[7日 ロイター] - 6日投票の米中間選挙では、議会下院の過半数を民主党が奪還、上院は与党共和党が過半数を維持する「ねじれ議会」となる公算が高まっている。

市場関係者や専門家の見方は以下の通り。

●株式急落リスクはやや遠のく

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資ストラテジスト 三浦誠一氏>

一昨年の米大統領選挙や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票と違い、市場の予想通りの結果となりそうだ。議会が「ねじれ」の形となり、トランプ米大統領はこれまでのように政策を推し進められなくなる一方、派手な景気対策が米金利の上昇を招き、株式市場に急落をもたらすという事態は遠のいたのではないか。米株式市場が極端に悪い方に反応することはないとみている。

一方、トランプ大統領に悔しさが募り、通商問題で中国との歩み寄りをやめたり、日本に対して強硬姿勢をとるようなことがあれば、センチメントを悪化させる要因になる。引き続き、米中貿易摩擦の動向について、トランプ大統領や当局者の発言に一喜一憂することになりそうだ。

日経平均は年末にかけて2万1000円割れのリスクは後退したとみている。一方、2万3000円台になると売りたい向きも多そうだ。

●米政策運営の停滞、金利上昇などに警戒

<みずほ総合研究所 欧米調査部長 安井明彦氏>

下院を民主党が制した点はトランプ大統領の敗北と言えるが、上院は共和党が議席を増やしそうなことから、米国の深い分断が明らかになった。米国の政策運営が停滞し、とりわけ財政運営の不透明さが増すだろう。金融市場や経済を通じ、日本にとっても警戒すべき要因だ。

一方で、下院・民主党とトランプ大統領が分裂を避けるため、財政赤字が拡大するような政策で歩み寄る可能性もある。そもそも財政規律が緩んでいる状況のため、金利上昇というリスクも警戒しておいたほうがいい。

日本にとって、通商問題を巡る環境が良くなることはない。トランプ政権は2020年の大統領選挙に向け、米国第一主義をもう一度高く掲げてくるとみている。民主党の通商政策のほうが共和党よりも保護主義の色合いが強いため、これまで以上に厳しくなる恐れがある。

中国との通商摩擦も、さらに厳しい姿勢で臨むようになるだろう。日本は米中貿易の悪化を通じて経済に影響を受けるだけでなく、両国の間に挟まれる形になる。どういう立ち位置をとるのか、難しい選択を迫られる。

●市場にとって最悪の結果は回避

<ビーム・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター、モハンナド・アーマ氏>

開票速報通りの結果となれば、市場にとってはややプラスだ。民主党が上下両院を制するという、市場にとってあまり好ましくない結果にはならなかったからだ。最悪の選挙結果を織り込んだことが前月の10%近い市場の急落の一因だとするならば、ここから数日間は若干持ち直すことが期待できるが、短期間で終わるだろう。

選挙が通過すれば、企業業績と米連邦準備理事会(FRB)に再び注目が移る。この2つの要因は、株価指標が拡大する裏付けとはならないのは明らかだ。

●ほぼ予想通り

<サントラスト・アドバイザリー・サービシズのチーフ・マーケットストラテジスト、キース・ラーナー氏>

全般的にはコンセンサスとかなり一致しており、市場は控え目ながらポジティブに反応している。

反応が控え目ということは、基本的には予想通りの結果だったということで、投資家の関心はすぐに世界経済や米FRB、企業利益の伸びなど市場の基本的な材料に戻るだろう。その他の要因の方が、概ね予想通りだったきょうの選挙結果よりもはるかに重要ということだ。

●金融規制強化の可能性巡り市場は神経質に

<UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの投資ストラテジスト、ジャスティン・ワーリング氏(ニューヨーク)>

中間選挙は、大統領の党が下院で議席を減らすという平均な結果となり、想定通りだった。そのため、市場はあまり反応しないだろう。

ただし、下院委員会が民主党主導になることに関して、米株式市場の一部は逆風に直面し始める可能性がある。例えば、下院金融委員会はマキシン・ウォーターズ氏(民主党)が委員長を務めるとみられるが、同氏は金融規制の緩和に反対の立場をとっている。議会で今後、規制が強化される公算は非常に小さいものの、民主党が2020年(の大統領選)にも勝利する可能性を巡って、市場は神経質になるかもしれない。

それでも、当社は金融株をオーバーウエートとすることを引き続き推奨する。下院委員会の公聴会で逆風が吹いたとしても、重要なのはファンダメンタルズであり、政治的な要因がこれを上回ることはない。

●財政収支悪化、米金利に上昇圧力

 11月7日、6日行われた米中間選挙では、米議会下院の過半数を民主党が奪還して、上院は共和党が過半数を維持する「ねじれ議会」となる公算が高まっている。写真はアイオワで撮影(2018年 ロイター/Scott Morgan)

<SMBC日興証券 金融財政アナリスト 末澤豪謙氏>

米中間選挙で、民主党が下院を制する見通しとなり、上院は共和党が多数派を維持する見込みとなった。事前予想通りの結果で、短期的な金融市場への影響は限定的だろう。

ただ、トランプ政権の議会運営は困難となり、与野党が対決する法案は、まったく通らなくなるだろう。場合によると、下院で民主党がさまざまな調査権限を発動して、トランプ政権の幹部が召喚されることや、大統領弾劾訴追が行われる可能性もある。

米国の政治は、オバマ政権の第1期の中間選挙後同様に「決まらない政治」が続くとみている。

また、インフラ投資を進める中、増税は与野党の反対で通らず、米国の財政収支は一段と悪化する可能性がある。となれば、米長期金利への上昇圧力がかかるだろう。保護主義が加わると、中期的には米株式市場にはネガティブな影響が出てくることを想定している。米株式市場が不安定化すれば、日本の株式市場にも悪影響が及ぶ可能性がある。

●トランプ大統領にとり状況は一変

<民主党ストラテジスト、ジム・マンリー氏>

全米の多くの郊外選挙区において、トランプ大統領は政治的に有害だということが明確だ。トランプ氏は支持基盤に働きかけたが、その行き過ぎた発言で多くが共和党から離れ、その結果、民主党が下院で過半数を奪還する見通しとなった。

今後どのような状況になるか、トランプ氏にもわからないだろう。下院はトランプ政権を隅から隅までチェックすることができる様々な権限を手に入れた。きょうを境に、トランプ氏にとり状況は一変したと言える。

●税・貿易政策変わらず、インフラ支出の余地

<BNPパリバ・アセット・マネジメント(ニューヨーク)のシニアグローバルエコノミスト、スティーブ・フリードマン氏>

経済面では、変わらないことが2点ある。1つは税制改革だ。ねじれ議会の状況では民主党は税制改革を巻き戻すことはできない。2点目は貿易政策だ。貿易政策は大統領が強い権限を持っており、関税について議会の同意を得ずに進めることができる。

ねじれ議会によって国内政策が阻止されれば、トランプ大統領はむしろ、比較的制約を受けず、支持層の共感を得ていると感じる貿易政策で一段と強硬姿勢を強める可能性がある。それが良い経済政策であるかは別として、民主党も貿易政策でトランプ氏に強く反発するのは難しいだろう。

支出に関しては、両党ともインフラ投資への支持を示唆しており、追加措置が可決される余地がある。規模や財源、民間セクターの関与については見解が大きく異なっているが、意欲はある。この点で市場は、刺激策のリスクを過小評価しているかもしれない。

●民主党があらゆる権限行使し政権に圧力

<共和党のストラテジストのダグラス・ヘイ氏>

過去2年間と状況はすぐに大きく変わるだろう。

(下院で)過半数を獲得した民主党が、召喚状の権限行使など、あらゆる手段を講じてトランプ政権に圧力をかけるとみられる。この影響は大きいだろう。

2010年の中間選挙の夜、オバマ前政権の政策アジェンダは骨抜きになった。今回も同じだ。

●民主党の出方次第でねじれ議会は株安要因に

<B・ライリーFBRのマネジングディレクター兼首席グローバルストラテジスト マーク・グラント氏>

共和党が下院の多数派を失い、上院の多数派を維持するねじれ議会は予想通りだ。ねじれ議会は金融市場にとって好ましいという意見も一部であるが、私は同意できない。民主党がカバノー連邦最高裁判事の弾劾やトランプ大統領の弾劾に注力する可能性があることが問題だ。減税規模の縮小を求める可能性もある。実際にこれらの行動が取られた場合は株式市場にとっては大惨事だ。このような事態になることを私はやや懸念している。株式市場と債券市場にとっては明確なマイナス要因となるかもしれない。

●対中政策と利上げペースが引き続き焦点

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

米国の中間選挙では、上院で共和党が多数派を維持する一方、下院は民主党が制する見通しとなったが、金融市場は米議会のねじれ現象をほぼ織り込んでいた。

ねじれが発生したとしても、トランプ大統領の政策が大きく阻害されることはないとみている。今後、トランプ氏は2年後の大統領選を見据えて、インフラ投資などにも力を注ぐとみられるが、インフラ投資に関しては、民主党が反対するとも思えない。

ねじれのイメージから、一時的にドル売り、株売りとなっても、典型的なリスク回避の流れにはならないだろう。

今後の焦点は引き続き、米国の中国に対する政策と、米連邦準備理事会(FRB)による利上げのペースだ。

 11月7日、6日行われた米中間選挙では、米議会下院の過半数を民主党が奪還して、上院は共和党が過半数を維持する「ねじれ議会」となる公算が高まっている。写真はアイオワで撮影(2018年 ロイター/Scott Morgan)写真は連邦議事堂。6日撮影(2018年 ロイター/James Lawler Duggan)

前者では、両者の衝突が貿易問題を超えて体制に及んでいる印象があり、注意が必要だ。後者では、12月の利上げは既定路線だが、その後の利上げのペースを巡って、株価がどのような反応を示すのかが注目される。

ドル/円については、目先は112円の後半から114円の前半というレンジ内の推移を予想する。113円以下の水準では、ドル買い需要が期待される。また、クロス円も底堅さを取り戻しており、ドル/円の下支え要因となりそうだ。

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