July 31, 2019 / 11:19 PM / 17 days ago

コラム:市場も大統領も喜ばせないFRBの10年半ぶり利下げ

[ニューヨーク 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)が方向転換した。31日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を25ベーシスポイント(bp)下げて2─2.25%とした。トランプ大統領など一部の人々にとって、これでは物足りないのは確かだ。半面、やり過ぎだと受け止める向きもある。ほとんどの経済指標から判断してもそう言える。パウエルFRB議長は、誰も喜ばせないという新手の方法を見つけ出した。

FRBが前回利下げしたのは、金融危機が深刻化した2008年だった。それから7年間、政策金利はゼロ近辺で推移した後、イエレン前議長が15年終盤に利上げを開始。昨年12月に25bp幅で最後の利上げが実施されてからは、政策金利は2.25─2.5%に維持されていた。

今回利下げに動いた直接の原因は、主として争いの種をまくようなトランプ氏の通商政策が経済活動にもたらす脅威だ。皮肉なことに、FRBが高過ぎる水準に金利を据え置いて自分の政策のメリットを台無しにしていると主張するトランプ氏の存在自体が、利下げすべき理由の1つになっている。

トランプ氏本人はこうした小幅の利下げで決して満足しないだろう。しかしFRBの2つの使命、つまり完全雇用と物価安定という眼鏡を通して事態を見れば、引き続き万事がうまくいっている。過去最長の景気拡大局面は11年目に突入し、成長率は底堅く、失業率は歴史的の低さで、物価は落ち着いているからだ。31日に発表された6月の個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は1.4%にすぎない。FRBは物価上昇率をより2%に近づけたいのだろうが、こうした背景を踏まえるとそれは利下げの根拠としてはいささか薄弱だ。

CMEのデータによると、少数派とはいえそれなりの数のトレーダーが50bpの利下げを予想していた。だから彼らは失望するだろう。好調な株式市場や社債市場がほとんど金融政策の助けを必要としていないと言えどもだ。またFOMCでは2人のメンバーが2人が利下げに反対しており、トレーダーとは別の理由からやはり残念に思っている。

今回の利下げで誰も満足しなかったことを受け、次の展開はどうなるのかという疑問が出てくる。これは「1回限り」の保険的な利下げだったのか、それともよりハト派的な政策決定に向かう第1歩なのだろうか。FOMC声明は不明瞭で、最近の例に基づけばパウエル氏の会見を読み解いてもはっきりした答えは得られないかもしれない。その上、FRBはなお「データ次第」の姿勢を維持している。それが誰かをうれしい気持ちにさせるかどうかはともかく、本来そうあるべきなのだ。

●背景となるニュース

*FRBは31日に終わったFOMCで、政策金利を25bp引き下げて2─2.25%とした。

*利下げは2008年以来。FRBは2015年12月まで事実上のゼロ金利を続け、その後徐々に金利を引き上げて昨年12月の政策金利は2.25─2.5%となっていた。

 7月31日、米連邦準備理事会(FRB)が方向転換した。31日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を25ベーシスポイント(bp)下げて2─2.25%とした。写真はワシントンのFRB本部。3月19日撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

*トランプ大統領はFRBとパウエル議長への批判を繰り返し、金利がもっと低ければ米経済の成長スピードは今よりも加速していたと指摘している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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