for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

アングル:米資産統計で高まるX世代の存在感、コロナ禍でも豊かに

[ワシントン 29日 ロイター] - 米国では、文化的に極端な志向に走ったりもした戦後派「ベビーブーマー」と、2000年前後から社会に出たり00年初頭に生まれたりした「ミレニアル世代」に挟まれた「X世代」は、印象はおとなし目だ。しかし、彼らの資産はトランプ前政権下と新型コロナウイルスのパンデミック期間を通じて着実に大きく増加した。最も稼げる年齢と歴史的な株高局面が、ちょうど重なる幸運に恵まれたからだ。

3月29日、米国では、文化的に極端な志向に走ったりもした戦後派「ベビーブーマー」と、2000年前後から社会に出たり00年初頭に生まれたりした「ミレニアル世代」に挟まれた「X世代」は、印象はおとなし目だ。写真は米ドル紙幣と硬貨。2020年3月撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)

米連邦準備理事会(FRB)が公表した直近の四半期資金循環統計によると、40歳から55歳までの区分の、ちょうどX世代に相当する年齢層が昨年終盤、重要な節目を超えた。彼らの純資産が全世帯の合計純資産に占める比率が26.9%と、X世代人口の全人口に対する比率約26.8%を超えたのだ。

この動きは、第2次世界大戦前から戦中に生まれた「沈黙の世代」と、ベビーブーマーがともに高齢化して消費世代としての存在感が後退し、代わって資産保有という面でX世代の力が増してきたことを物語っている。さらにX世代はパンデミック期間にも結局、富を増やし、その大半は生涯所得サイクルの絶頂期間がざっと、あと20年は続く。

トランプ政権が始動した2017年初め、X世代が世帯主の家計資産は3460万ドルで、全世帯の合計純資産の17.4%にすぎなかった。それが19年末までには25.4%まで高まり、パンデミックの間も高まり続けたことが、資金循環統計から読み取れる。FRBの資金循環統計は年齢、人種、教育といった区分で示される統計だ。

ベビーブーマーは依然として全世帯の合計純資産の半分以上に当たる約52.7%を保有し、この世代の人口の全人口に占める比率33%を大きく上回っている。ただ純資産比率は16年秋に記録した55.8%がピークだった。20年にも0.5ポイント下がり、今後も低下歩調をたどる公算が大きい。

一方、昨年末段階で24歳から39歳までの区分はミレニアル世代に相当するが、全人口の3割近くに達したにもかかわらず、純資産比率はまだ5%弱にとどまる。

こうしたデータは、昨年の株価乱高下や不動産市場の底堅さ、連邦政府による大規模な新型コロナ対策が米国の富の配分にどのような影響を及ぼしたかという疑問に対する答えを出し始めている。

最も豊かな層がさらに富を拡大したが、最も貧しい層もわずかながら資産が増えた。人種別に見ると、黒人とヒスパニックの失業が不相応に急増した中でも、格差の悪化は何とか避けられたことも分かった。

資産額最上位1%の世帯は資産が4兆ドル増えて、全世帯の合計純資産に対する比率は0.5ポイント弱上昇した。全人口が保有する株式や不動産、その他さまざまな資産のうち住宅ローンなど債務を除くネットベースで、このグループに属する約129万世帯が保有する比率は20年末までに31.4%と、19年末の31.0%から拡大したのだ。

ただ資産額下位50%の世帯も、純資産比率を1.8%から2%に伸ばしている。主に不動産と、課税の繰り延べができる確定拠出年金(401k)の価値が上がったためで、純資産額は4700億ドル上積みされた。

資金循環統計は、人種間の資産保有状況に大きな変化がないことも示している。つまり米国で今、重大な社会問題になっている人種による資産格差の解消は、ほとんど進んでいないということだ。ただ同時に、パンデミックが発生してもまだ格差が劇的に悪化していなかったことも判明した。

また純資産はクレジットカード債務といった借金も算定要素に含まれる以上、連邦政府の失業保険やその他の給付金が一部世帯の借り入れを減らし、貯蓄を増やす役割を果たしたことが、資金循環統計に反映されたとしてもおかしくない。

黒人の純資産比率は昨年序盤時点の4%から年末には4.1%と気持ち上向き、ヒスパニックは2.4%で変わらず。ただ、それぞれの全人口に占める人口比率は約14%と約9.3%だ。

同じ期間に白人世帯の純資産比率は人口比率と相対的に見て、やや悪化した。

それでも白人と、黒人やヒスパニックとの格差は依然大きい。白人世帯の平均純資産規模は黒人世代のおよそ4.5倍、ヒスパニックの5倍に上る。

教育水準に基づく資産格差は一段と開いてしまった。過去1年間に全世帯合計で増加した11兆ドルの純資産のうち、81%余りは大卒者が世帯主の家庭に属する。全人口に占めるそうした家庭の比率は上がり続けているものの、FRBの人口推計によるとまだ全世帯の36.7%しかいない。

大卒者が世帯主の家庭の純資産比率は昨年末が71.8%で、19年を1ポイント上回った。

人口推計データは昨年第2・四半期に改定されている。

(Howard Schneider記者)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up