January 19, 2018 / 5:49 AM / 7 months ago

コラム:「根拠なき熱狂」再び、年内に株価大幅調整の恐れ

[ニューヨーク 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領の税制改革により、米株というロケットに燃料が追加補給された。行き過ぎは株式市場にとどまらない。ビットコインその他の仮想通貨ではバブルが起こり、美術品の価格は高騰し、スポーツカーのような収集品から不動産まで、あらゆる資産にめまいのするような値がつくようになった。

 1月18日、トランプ米大統領の税制改革により、米株というロケットに燃料が追加補給された。写真はニューヨークで2017年3月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

それでもブームに乗り遅れたくないという恐怖心から、投資家は数多くの警告シグナルを無視している。2007年初頭のように。高い利回りを求める熱狂は高まるばかりで、慎重な判断は脇に追いやられている。

足元の米株高は、トランプ減税を機に大企業が空前の規模で自社株を買い戻し、増配し、設備投資も行うとの期待に基づいている。しかし個別株の株価収益率(PER)は、過度に楽観的な利益見通しを反映し始めている。私は2007年初頭、株価が大幅な調整を迎える危険があるとの警告を発したが、当時と状況は似ている。調整は再来しようとしており、年末までに米国株は10─20%下落しそうだ。

その理由の1つは、あらゆる資産価格を押し上げてきた金融緩和政策の転換である。米連邦準備理事会(FRB)は今年3、4回利上げする可能性が高く、バランスシートの縮小にも着手している。欧州中央銀行(ECB)も資産買い入れの巻き戻しを始め、日銀もそれに続くかもしれない。

米国は完全雇用状態にある上、減税によって財政赤字が急拡大する見通しとあって、インフレ懸念は高まっていく可能性がある。世界的にも景気拡大でコモディティの需要と価格が押し上げられているため、数カ月中にインフレ圧力が高まるだろう。特に石油価格は、政治が混乱するベネズエラの産油量減少など、特殊要因によって押し上げられるかもしれない。

もう1つの大きな懸念は、中国が年率6.5%という経済成長ペースを持続できるかどうかである。習近平・国家主席は、昨年の第19回共産党大会まで必要な金融改革を棚上げしてきており、実施された暁に成長率は6%、いやそれ以下にまで減速しかねない。今のところ、資本統制によって外貨準備の減少と人民元価格の下落は免れているが、一時しのぎに過ぎない。

中国はまた、国内総生産(GDP)の280%近くに膨らんだ債務の抑制に加え、国有企業やゾンビ企業、市町村、不動産開発業者による過重借り入れの問題にも取り組まねばならない。中国では商業銀行と影の銀行セクターがともに信用を膨張させており、政府は金融セクターの適切なリスク管理を回復させる必要もある。極めて不透明なのは、政府が行動を起こすか否かではなく、いつ起こすかだ。

世界の市場・経済には、政治面でも多くのリスクがある。11月の米議会中間選挙で共和党が勢力を落とせば、トランプ大統領と議会民主党の対立が強まり、財政政策や規制政策を巡る不透明感が高まりかねない。北朝鮮と米国の対立、英国の欧州連合(EU)離脱、サウジアラビアとイランの衝突、テロの脅威といった問題もある。

大半の投資家は今のところ、あらゆる警告の徴候を無視して株価を過去最高値へと押し上げている。2017年半ばのように、18年のいずれかの時点で浮かれ気分はしぼむだろう。10年前に比べ、国際金融市場の結び付きはさらに強まっており、米国株が大幅に調整した際の諸外国市場への伝播速度はさらに速くなるだろう。FRBは少なくとも、「根拠なき熱狂」が再来したとの警鐘ぐらいは鳴らすべき時を迎えている。

*筆者のウィリアム・ローズ氏はシティグループの元上級副会長で、現在はウィリアム・R・ローズ・グローバル・アドバイザーズの社長兼最高経営責任者=CEO。著書に「国際金融危機にどう立ち向かうか─最前線で学んだリーダーシップ」。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれ、BREAKINGVIEWSに寄稿されたものです。

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