[2日 ロイター] - 米労働省が発表した10月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が25万人増となり、市場予想の19万人増を上回った。失業率は労働参加率の上昇にもかかわらず49年ぶりの低水準となる3.7%を維持したほか、賃金の伸びは9年半ぶりの高水準となった。労働市場の一段の引き締まりが示されたことで米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げを実施するとの観測が一段と裏付けられた。
市場関係者のコメントは以下の通り。
<BライリーFBRの首席市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏>
過去の数字が下方修正されたことから、ここ3カ月での雇用者数の伸びは平均で約20万人増と、長期平均を若干上回る水準だ。失業率は変わらず、時間当たり賃金が増加していることは明るい兆候だ。
10月の統計は予想よりも堅調な内容となったが、金融政策面への影響はないとみられる。12月に利上げが実施され、来年については利上げ休止の余地があるかどうか、もしくは2、3回の利上げが実施されるか見極めることになるだろう。
過去2カ月、雇用統計の数字にはノイズが見られたが、米経済情勢は少なくとも労働情勢に関しては減速の兆候は見られず、悪材料よりも朗報の方が多いと考える。
<ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(ボストン)のチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏>
注目すべき点が3つあった。まず、賃金がゆっくりと加速していること。2つ目は、雇用が減った業種がなかったことで、裾野の広い力強さを示した。3つ目は、3カ月平均の雇用の伸びで、依然、月20万人を大幅に上回っており、引き続き米経済、特に労働市場の強さを示唆している。
難と言えば、雇用統計は株式投資家に「勝ち」をもたらすわけでないことだ。(株)先物は若干弱含み、(債券)利回りは小幅上昇している。10月雇用統計の強さを考えると、株式投資家は、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に利上げし続け、景気拡大を早期に終わらせてしまうリスクを意識する可能性がある。
<キャボット・ウェルス・マネジメントの社長兼最高投資責任者、ロバート・ラッツ氏>
人々は景気減速局面の接近を不安視していた。これらの指標はそうしたものを示していない。健全な水準と言える。
米国政府が自国内に雇用を創出し、事業を立ち上げようと躍起になっている。その結果、企業トップらもこうしたことを意識する。私は一部指標にその効果が表れ出すと確信している。一部の産業で製造業が底堅さを増し始めつつある。トランプ氏が政権にとどまる限り、こうした号令を掛け続けるだろう。
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