February 5, 2019 / 6:34 AM / 2 months ago

焦点:米ジャンク債、復活は本物か

[ニューヨーク 3日 ロイター] - 1月としては30年ぶりの高水準を記録した株式市場に注目が集まっているが、昨年末の急落から先月に息を吹き返したリスク資産市場がもう1つある。だが、一部の投資家はそうした回復の持続性に懐疑的だ。

 2月3日、株の上昇とともに、ジャンク債の復活は、各国を凌駕し続ける米国経済と、追加利上げについて様子見姿勢を示すようになった米FRBの変化に対する支持表明のように映る。NY証券取引所で1月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

ICE・BofAMLの指数データによると、投機的(ジャンク)等級債券の価格は1月、7年超ぶりの高水準となり、4.6%近くのトータルリターンを記録。第4・四半期の損失ほぼすべてを取り戻した。昨年12月にほぼゼロになった新規発行も回復を見せた。

株の上昇とともに、ジャンク債の復活は、各国を凌駕(りょうが)し続ける米国経済と、追加利上げについて様子見姿勢を示すようになった米連邦準備理事会(FRB)の変化に対する支持表明のように映る。

ハイイールド債市場は2018年末に6週間近く続いた閑散期を経て、今年1月は計117億ドル(約1.3兆円)の起債があった。リッパーによると、昨年12月からの回復を受け、機関投資家は2016年以降で最も多くの資金をハイイールド債に投じている。

こうした動きは通常、より利益を見込める建設的なものとみられることが多いが、一部の大手債券ファンドマネジャーは同市場の回復に懐疑的な見方を崩していない。どちらかというと、回復はファンダメンタルズにおける持続的な改善に起因するというより、次第に弱まっていくであろうさまざまなテクニカル要因に起因していると考えている。

「われわれは、これを特に強い買い場とは考えていない」と、ダイヤモンド・ヒル・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ジョン・マクレイン氏は言う。市場に修正が入り、価格が下落すると同氏は予想する。ハイイールド債における2018年1月の大幅な価格上昇分は、翌2月の急落でマイナスとなった。

昨年12月のハイイールド債取引はわずか5億9400万ドルで、月間の起債額としては2008年8月以来の低水準となった。世界経済成長の減速や米中貿易戦争、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)といった世界的なマクロ経済動向が金融市場のボラティリティーをあおっていたことから、企業は起債を手控えた。だが、パウエルFRB議長が先月に追加利上げを一時停止することを示唆し、同30日の声明でもそれが確認されると、市場は反発した。

それでも、昨年12月の底から回復したとはいえ、ハイイールド債市場における今年1月の起債額は2018年1月の半分にも満たない。市場規模が比較的小さいことが価格を不自然に下支えしている可能性はある。1月3日に5.357%にまで拡大していたハイイールド債と米国国債との利回り格差(スプレッド)は、ICE・BofAMLの指数によると、それ以降108ベーシスポイント縮小している。

「現在、(ジャンク債)市場は弱い。買い手は自制し、売り手はできるだけ早く売り払おうとしている」と、資産運用会社イートンバンスの債券分散投資ディレクター、キャスリーン・ガフニー氏は指摘する。

次の2件が同時に起きたことで、同市場の縮小と価格上昇が起きる可能性もある。1つは、HCAヘルスケア(HCA.N)の債券が投資適格に最近格上げされたこと。もう1つは、投機的水準の決済サービス大手ファースト・データ(FDC.N)が、投資適格のファイサーブ(FISV.O)に買収されることだ。

とはいえ、投資家からの強い需要により、発行体は起債額を膨らませている。航空機部品メーカーのトランスダイム・グループ(TDG.N)は、発行額を当初より11億ドル増の38億ドルとした。一方、天然ガス企業のタルガ・リソーシズ(TRGP.N)は1月に社債発行を決めたが、発行額を2倍の15億ドルに引き上げた。

12月に市場を混乱させた経済的・地政学的な懸念が消え去っていないことを考えれば、発行条件にはとりわけ目を見張るものがある。

さらに、リフィニティブのデータによると、昨年の減税による追い風が弱まる中、ジャンク債の主なけん引役である米企業収益の伸びは第1─3・四半期に鈍化するとみられる。第1・四半期だけを見ても、収益はほとんど伸びないと予想され、伸び率は前年比1.1%と推定されている。

「それほどの変化はない」と語るのは、ヘッジファンド、フェーズキャピタルのマイケル・デパルマ最高経営責任者(CE O)だ。「貿易戦争が起き、経済は減速し、FRBが利上げしてすべてが台無しになるといった具合に、人々は予想していた」

だがこの1月は、誰もそんなことは気にしていなかったとデパルマ氏は言う。

こうしたマクロ経済的な問題が消えうせていないことを考えれば、12月にハイイールド債の発行体を恐れさせたボラティリティーが2019年に容易に舞い戻ってくる可能性はある。また、FRBは今年、追加利上げを一時停止する可能性を示唆したとはいえ、米労働市場の強さが続けば、あまり長期間、金利を据え置く正当性を主張することは困難になるかもしれない。

「FRBのハト派姿勢に対する市場の反応は行き過ぎだ。経済のファンダメンタルズに変化はなく、FRBは一時停止後、追加利上げを実施する可能性がある」とガフニー氏は指摘する。

ジャンク債の回復に懐疑的だったファンドマネジャーにとって、1月は予想されるボラティリティーに備えてリスクを取り除いておく良い機会となった。

「この1月にポートフォリオのミスを一掃した。大きなヘアカットをせずに整理するタイミングだった」と前出のマクレイン氏は語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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