November 23, 2019 / 10:50 PM / 17 days ago

焦点:曲がり角の米ジャンク級ローン市場、LBOブームに幕

[20日 ロイター] - 投機的格付けの米企業ローン市場の最もリスクの高い分野は、格下げへの懸念から多くの投資家に敬遠されつつある。このためレバレッジドバイアウト(LBO)や、借り入れを原資とする配当受け取り(debt-funded dividends)の動きが鈍ってきた。

 11月20日、投機的格付けの米企業ローン市場の最もリスクの高い分野は、格下げへの懸念から多くの投資家に敬遠されつつある。写真は2017年5月、独フランクフルトで撮影(2019年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

これは米連邦準備理事会(FRB)がいくら払しょくしようとしても、来年米国が景気後退(リセッション)に突入するのではないかとの観測が根強く残っている証拠だ。リセッションが現実化すれば、多額の債務を抱えた企業は資金繰りに窮することになる。

米国の投機的格付けローン市場は、超低金利を背景に2010年以降で3倍に膨らみ、1兆3000億ドルの規模に達した。投資家はリスクの高い資産に積極的に資金を振り向け、プライベートエクイティ(PE)は高いリターンを生み出すとともに、より大型の買収を追い求めることができたのだ。

しかし足元でローン市場の雲行きが怪しくなったことから、これらの大型買収の一部案件は実現性が薄れている。例えばドラッグストアチェーン大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)(WBA.O)が目指していたLBOを通じた株式非公開化計画も、PE側から懐疑的な反応を示された。

実際、米経済の先行きに警戒感が高まったことを受け、ローン投資家は金利引き上げなど、より厳しい条件を要求。これによってレバレッジ比率の高い大半の企業は借り換えが難しくなっている、と資本市場専門家は話す。

クレジット投資を手掛けるヨーク・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター、リズワン・アクタル氏は「来年リセッションになるかどうかは不明だが、ローン市場はリセッションがやってくる事態に備えている」と述べた。

ディーロジックによると、今年は年初から10月までで、米国の投機的格付けローンの組成件数が15年以降で最も低調な期間となり、組成規模は前年同期比でほぼ3分の2に落ち込んだ。それがディールに向けた動きを圧迫し、リフィニティブのデータに基づくと1-10月のLBOは16年以来の低水準、借り入れを通じた配当受け取りは10年以来の低水準にとどまった。

過去数年間はレバレッジドローンが非常に活発化したため、引き受け基準が緩み、利益に対する債務比率が高まったほか、財務制限条項がなおざりにされて、デフォルト(債務不履行)発生時の投資家を保護する効果が弱まった。

今後に経済状況が悪化した場合、これらのローンが格下げされる公算はさらに増大し、ローンマネジャーにとって頭痛の種になりかねない。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)でローンのシンジケートと販売の責任者を務めるArt de Pena氏は「ローン投資家は依然として格下げの可能性と企業業績が予想に届かない状況を心配している。いずれのケースもデフォルトの増加につながってもおかしくない」と指摘した。

<リスク志向低下>

最もリスクが高いローンへの投資意欲が減退しているため、いったん組成したローンを売却することがほとんどの銀行も、厳しい立場に置かれている。リフィニティブのデータを見ると、米国ではバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)、JPモルガン(JPM.N)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)が今年1-10月のレバレッジドローン組成件数でトップ3だった。

レバレッジドローンは変動金利なので金利低下局面では魅力が色あせる。対照的にジャンク債は固定金利商品のため、ローン市場の不振とは無縁だ。全般的な金利低下やローン市場からの資金シフトを追い風に、今年これまでにジャンク債の発行は約20%増加した。

それでものどから手が出るほど資金が欲しい企業にとって、ジャンク級ローンの低迷を帳消しにできるほどの効果は発揮していない。

最近ではオークションを手掛けるサザビーズや、バルブなどを製造するコルファクスなどのLBOにおいて、銀行は投資家を集める目的で、借り手の配当支払いやスピンオフに制限を加えるといった条件変更に応じざるを得なくなった。

ヨーク・キャピタルのアクタル氏は「今われわれは、プライシングがLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)プラス400(ベーシスポイント=bp)でない限り、B3/B-の新規ローンには目もくれない。昨年ならLIBORプラス350ないし375で取引が成立した」と説明した。

<CLOに重圧>

最もリスクの高いローンを避けている投資家は、ローン担保証券(CLO)のマネジャーだ。これらのマネジャーは購入したローンをパッケージ化した後、投資家のリスク許容度に応じて切り売りする。

彼らは、B3/B-のローンがリセッション時にCに格下げされるのを恐れ、購入に二の足を踏んでいる。CLOは、C格付け債務を総資産の7.5%までとする上限を設けている例が多く、これを超えればマネジャーが損失を被る可能性が出てくる。

S&Pグローバルは、今年6月末段階でCLO市場のエクスポージャーのうちB格付けローンの比率が18%強と17年末の2倍以上に達しており、重圧が高まっていると分析した。

(Joshua Franklin記者)

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