January 23, 2018 / 7:29 AM / a month ago

コラム:「ゴルディロックス相場」に変化の兆し

Jamie McGeever

[ロンドン 22日 ロイター] - 昨年の金融市場を振り返ると、政治的な不透明感こそ増大したが、3つのはっきりした特徴があったことが分かるだろう。株価上昇、ボラティリティー低下、米国債イールドカーブのフラット化だ。

これらの傾向のうち今年に入っても続いているのは米国株の値上がりで、既に年初から5%上昇。ダウ工業株30種は2万6000ドル台を突破し、年明け以降の13営業日中10営業日で最高値を更新している。

ただ突然のように、ボラティリティーとイールドカーブは変調をきたした。ボラティリティー・インデックス(VIX)は先週、1カ月余りぶりの高水準に達し、米国債のイールドカーブはスティープ化しつつある。

株式市場にとってこうした展開が、暴落とは程遠く、待ち望まれている調整局面の予兆だと断言するのは時期尚早だ。実際は、米税制改革に関連した成長加速や予想物価上振れ、株価の一段高に起因するボラティリティーの拡大を示唆している公算の方が大きい。

いずれにしても、債券と株式が順風満帆に推移してきた時代の幕が下りようとしているかもしれないことはうかがえる。

過去30年間、VIXとS&P総合500種の逆相関関係は絶えることなく続いてきた。株価が上がれば、VIXは下がるというわけだ。大半の期間では、相関係数は週足、日足の双方でマイナス0.75かそれ以上と強い逆相関が見られた。

低いボラティリティーは株価浮揚の要でリスクテークを促進する以上、妥当な話と言える。ボラティリティが高まれば、反対の事態が起きる。もしこの関係が断たれれば、重大な事態になるだろう。

足元の週足の相関係数はマイナス0.55と逆相関が2005年4月以来の弱さとなり、日足では12日のマイナス0.46は1カ月前につけた約1年ぶりの弱さに並んだ。

投資家やトレーダーはなお自然とボラティリティー低下に備えたポジションを構築している。2月14日満期で最も取引量が多いVIXのオプションの建玉残高は、行使価格10.0─13.0のコールが41万1283枚で、プットの81万1738枚よりずっと少ない。

3月21日満期と4月18日満期のVIXオプションも、プットがそれぞれ29万5175枚と13万8132枚で、コールの20万5818枚と8万9611枚を圧倒している。

ただしもう少し詳しく調べると、最も高い行使価格ではコールの建玉がプットより多いことが分かる。3月満期は13.0の行使価格でコールが8万4601枚でプットが5万6235枚、4月満期は価格15.0で7万0009枚と4万9541枚だった。

これはまったく正常な状態だというのが1つの解釈になる。なぜなら最高の行使価格は「アウト・オブ・マネー」で、投資家にボラティリティー拡大に対する安価な保険を提供しているからだ。

しかし、投資家がボラティリティー拡大に向けてはっきりとポジションを組みつつあると分析することもできる。

一方、イールドカーブのフラット化は、昨年の米国の金融環境が連邦準備理事会(FRB)の利上げにもかかわらず非常に緩和的だった主な理由の1つだった。ゴールドマン・サックスによると、これほど緩和的な環境は2014年以来だった。

4年にわたるフラット化の流れが途絶えたとまで言うのはまだ早い。昨年はイールドカーブが10ベーシスポイント(bp)ないしそれ以上スティープ化した場面が6回あったものの、2年と10年の米国債利回りスプレッドは今月序盤段階で一時49bpと10年ぶりの低水準となった。

もっとも今月は既に2回急速にスティープ化が進み、22日には10年債利回りが2.67%と14年7月以来の高さを記録。非常に控えめに考えても、フラット化は一服しつつある。

フラット化は、今後の経済状況がより厳しくなるという典型的なシグナルだ。株価にとってそれは弱気材料に見えるが、金融緩和が維持されるかあるいは緩和強化の可能性が出てくる点が債券同様に株価の支えになる。

他の条件が等しいなら、スティープ化は経済がより健全化する兆しであり、まさに中央銀行当局の狙い通りとなる。同時に金融環境の引き締まることを意味し、市場は好感しない。

それでも株価は上昇力を持ち、ボラティリティは跳ね上がっている。VIXは17日に13%弱と7週間ぶりの高水準となり、その前日にはS&P総合500種が過去最高値を更新した。

株価、ボラティリティー、イールドカーブの関係が分断化され、相関性が薄れてきたことからすると、過去2年間の株やその他資産をずっと押し上げてきた環境を当然視するのを投資家は警戒し始めたに違いない。

当然投資家はだれでも、もうけの機会を逃したくない。だからバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、過去4週間で株式ファンドに流入した金額は580億ドルと過去最高に上った。同社は年明けの株式市場のこうした状況を「極めて泡立っている(Super frothy)」と描写した。

だがボラティリティーの拡大と長期債利回り上昇が続けば、その泡の相当部分があっという間に消えてなくなってもおかしくない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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