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米雇用統計、予想上回る大幅増:識者はこうみる

[9日 ロイター] - 米労働省が6日発表した10月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が27万1000人増となり、市場予想の18万人増を大きく上回った。伸びは2014年12月以来最大。失業率も5.0%と前月の5.1%から低下し、2008年4月以来の水準となった。

 11月6日、予想を上回る米雇用統計を受け、12月利上げは確実との声も。写真はFRB議長の会見を聞き入るNY証券取引所のトレーダー。9月17日撮影。(2015年 ロイター/Lucas Jackson)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

米雇用統計が強い結果となったことで、12月の米利上げの実現可能性はかなり高まった。ドル/円は12月に向けて上昇圧力がかかりやすく、再び125円台への上昇はあり得る。

ただ、年初来高値125.86円を超えるような勢いはないだろう。今後は米利上げに関し、「いつやるか」から「何回できるか」に市場のテーマが変わってくる。この点は、今年12月の利上げで打ち止めとなる可能性が高いと予想している。

主要通貨に対するドル指数の年初来高値は100.39。これが雇用統計を経て99.34にまで急上昇した。既に過去2年間のドル高進行は製造業の景況感を冷やし、雇用の伸びにブレーキをかけている疑いが強く、利上げを受けたドル高でその悪影響はますます強まる恐れがある。通貨高は利上げ以上の金融引き締め効果を現している。

10月の為替政策報告書でも示唆されたように、ドル高に対する米財務省の警戒感は徐々に強まっている。過度のドル高には要人のけん制発言もあるだろう。来年以降はドル高が足かせとなり、利上げ継続が難しくなる恐れがある。これを市場が織り込みにいくようなら、ドル/円の上値は押さえられやすくなるはずだ。

<パインブリッジ・インベストメンツ 執行役員 前野達志氏>

米連邦準備理事会(FRB)による年内利上げへの見方が強まっているが、利上げが好材料と解釈されるのか、悪材料と解釈されるのかは、まだ不透明だ。米株が崩れなければ、日本株は円安というプラス材料で上がるだろう。逆に利上げを徐々に織り込むような形で米株が崩れてしまうことがあれば、日本株は弱含む可能性がある。

年内の日経平均は1万9000円から2万0500円の間で推移するとみているが、12月の米利上げの可能性に加え、中国もポイントとなる。ただ中国の10月貿易収支も、市場予想を下回る内容だった。輸出関連株に対しては強気にはなりにくく、目先は日本株の上値の重い展開を想定している。

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

10月米雇用統計の内容は堅調で、安定的なインフレのバックグラウンドにある労働市場のタイト感に加え、賃金が多少なりとも上がる兆候がみれた。ハト派が見ても米国の実体経済は良いのではないかと判断していることからマーケットでは12月の米利上げがあり得るとみている。

ただ、来年の春ごろまで米国の景気回復が持続しているかという話になると、今回の雇用統計がそこまで補助する材料ではない。

次の焦点は連続利上げが必要なほど米景気が強いのかというところにシフトしていくだろう。

円金利に関しては、海外金利が上昇すれば、円債の買い目線もじわりと上昇する可能性がある。もっとも、需給のサポート要因が強く、逆張り的に押し目を買う市場参加者も出てくるとみている。

円債の10年最長期国債利回り(長期金利)の足元から今年12月末のレンジは0.250─0.500%とみている。

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズマネジメント(米ウイスコンシン州)の首席ポートフォリオストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏>

驚異的な内容だった。特に製造業部門の週間労働時間もかなり勇気付けられる結果となった。

米経済が再び乱気流に巻き込まれることがなければ、明らかに12月利上げは正当化される。

<ウエスタン・アセットマネジメント(米カリフォルニア州パサデナ)のエコノミスト、マイク・バズダリッチ氏>

米連邦準備理事会(FRB)が12月に利上げに踏み切るのはほぼ確実となった。

FRBのコミュニケーション次第では、連邦公開市場委員会(FOMC)2回に1回のペースで動きがある可能性もある。

<RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

疑いなく12月利上げ観測を支援する結果となった。12月利上げに対し懐疑感を持っていた向きも、考えを変える必要が出てくるかもしれない。

1回の統計で何も決まるわけではないが、今回のような結果は無視できるものではない。

*内容を追加しました。

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