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アングル:米短期金利再びゼロ接近、FRBに問われる調節能力

[ニューヨーク 2日 ロイター] - 米短期金融市場では最近、過剰流動性によって金利水準がゼロに迫りつつある。このままでは連邦準備理事会(FRB)が政策金利として誘導対象にしているフェデラルファンド(FF)レートがマイナス圏に陥り、市場の混乱を招きかねない情勢だ。

2月2日、米短期金融市場では最近、過剰流動性によって金利水準がゼロに迫りつつある。ワシントンのFRB本部で2019年3月撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

FFレートは、銀行間市場で準備預金積み立てのための翌日物資金取引に適用される金利。実効レートがゼロ未満になるということは、銀行が互いに資金を積極的に貸したがっているという意味とも言え、FRBが政策金利をマイナス化するという市場の想定を示唆するとも受け取れる。マイナス金利実現の公算はなお乏しいものの、短期金利が低過ぎること自体、デフレ的な環境を表す以上は望ましくないとアナリストは説明する。

ただFRBには短期金利押し上げの手段がある。例えば超過準備に対する付利(IOER)の引き上げなどだ。IOERはFFレートの誘導目標にも影響を及ぼす。市場関係者は、FFレートが持続的に0.05%を下回って推移するようなら、FRBが対応に動く可能性が高いと話している。

米国債を担保に短期資金を融通し合うレポ市場の各金利や、レポ翌日物取引に基づく担保付翌日物調達金利(SOFR)は先週に一時、昨年5月以来の低さとなる0.03%まで沈んだ。2日は0.10%に反発した。

短期市場が消化に苦戦しているのは、FRBの大規模な資産買い入れと財務省の新型コロナウイルス対策に伴って流れ込んでいる巨額の資金だ。さらに財務省が各種対策の主な財源調達手段を短期国債から長期国債に切り替えているため、結果的に短期国債利回りに低下圧力がかかり、その影響がレポ市場に波及している。実際1月29日には全年限の短期国債利回りが昨年3月以来の最低水準を記録した。

BMOキャピタルの金利ストラテジスト、ダン・クリーター氏は「現金の供給が過剰になる局面に入ってきている。レポ金利はゼロ近辺に下がるだろう」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズはノートに、FRBは短期金利をしっかり誘導目標のレンジ内に収めたいので、過度の金利低下を気にかけていると指摘する。

2019年9月には、今と逆に法人税払いに伴う資金需給逼迫を受けて短期金利が高騰。翌日物レポ金利が一時10%を付け、FRBが介入してレポ市場への資金供給を再開し金利を抑え込むとともに、銀行に超過準備を積み上げさせざるを得なくなった。

<増え続ける準備預金>

財務省は手元現金の残高を現在の約1兆6000億ドル(約168兆円)から、3月末には半分の8000億ドルまで減らすことを考えている。昨年12月に承認された経済対策と今年1-3月に議会が承認する追加支出に回される現金だ。これは最終的には銀行の準備預金に流入する。

これにFRBによる毎月の資産買い入れが加わる結果、銀行の準備預金残高は3月を通じて約1兆3000億ドル増加する見通し。SOFRなどの翌日物金利とFFレートを急低下させるのには十分過ぎる規模だ。

1月29日の実効FFレートは0.07%。2月1日に0.08%とわずかに上がったものの、FRBの誘導目標(0.0-0.25%)の下限に近く、あと数ベーシスポイント(bp)下がればFRBにとってIOER引き上げが必要な領域となる。というのも過去を見ると、FRBは実効FFレートが誘導目標の下限ないし上限に5bp以内まで近づくと、IOERを調整してきたからだ。

TDセキュリティーズのシニア金利ストラテジスト、ジャネディ・ゴールドバーグ氏は「実効レートが誘導目標の下限に接近し過ぎれば、何かの拍子に下限に達するかそれを割り込んでしまう可能性も出てくる。それが起きると、FRBが短期金利をコントロールする力に疑念が生じてしまう」と警告した。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss記者)

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