for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:米金融界が戦々恐々、「上院勢力逆転」の未来図

[サンフランシスコ 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米金融界は共和党のトランプ政権の下で優しく丁寧な扱いを享受してきた。しかし11月3日の選挙で民主党が上院の多数派を制すれば状況は一変する。恐らく、シェロッド・ブラウン議員が銀行住宅都市委員長に就任するからで、この人事は大手行にとって身がすくむような未来図になる。

10月30日、米金融界は共和党のトランプ政権の下で優しく丁寧な扱いを享受してきた。写真はウオール街で26日撮影(2020年 ロイター/Mike Segar)

オハイオ州選出のブラウン氏は長年、ウォール街たたきにいそしんできた。同氏は自ら主導して2013年に大手行の最低自己資本基準を15%に引き上げただけでなく、大手金融機関の解体を提唱している。また銀行住宅都市委員会における最上席の民主党議員として、トランプ政権による金融規制緩和にずっと反対の態度を貫いた。昨年には、銀行の自己勘定取引を制限したボルカー・ルールの軌道修正に猛反発している。トレーディング資産に応じて順守義務が軽減され、適用される規制が区分けされたためだ。

今回の選挙結果を受け、来年1月に招集される新議会でそのブラウン氏が上院銀行住宅都市委員長に起用されれば、もはやウォール街は枕を高くして眠れない。同氏は既に、何を優先的に進めるかを示唆する法案を提出している。それは金融界に「ダイバーシティー(多様性)」とともに、さまざまな個性や能力を持つ人を生かす「インクルージョン(包括)」を定着させることだ。同氏は先週、1964年の公民権法が金融機関をカバーしていない以上、こうした取り組みは不可欠だと主張。「レッドライニング」と呼ばれる住宅地域で融資態度を変えるような差別を規制当局により厳しく是正することを求めるとみられる。

金融機関同士のM&Aもハードルが上がるかもしれない。ブラウン氏は、地銀のBB&Tとサントラストの統合や、モルガン・スタンレーMS.NによるEトレード買収を批判した経緯がある。預金機関の金融安定性評価で気候変動リスクの比重も高まると考えた方がよい。

ウォール街にとって多分最も恐ろしいのは、21世紀版の「グラス・スティーガル法」導入だろう。銀行と証券の分離を柱とする同法は過去に廃止されたが、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員を中心に復活させようとする動きが出ている。

ブラウン氏が自身の優先課題をどこまで法制化できるかは、民主党が上院でどれだけの優位を確保するかにかかってくる。ただ銀行住宅都市委員会の権限に絞っても、かなりの大きさがある。委員長は銀行幹部を呼び出し、議員たちから質問攻めにすることができるし、金融監督機関のトップ人事に影響力を行使できる。たとえ民主党が上下両院と大統領選で圧勝しなくても、銀行住宅都市委員長ポストを得るだけで、金融界としては十分戦々恐々の事態になる。

●背景となるニュース

*11月3日に改選となる米上院議席は35、このうち23を共和党が保有する。共和党の上院議席総数は現在53と多数派だ。民主党が逆転すれば、各委員会の委員長は同党議員に交代する。

*上院銀行住宅都市委員会は共和党のマイク・クラポ議員が委員長を務めている。民主党の最上席委員はシェロッド・ブラウン議員。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up