September 13, 2019 / 4:28 AM / 2 months ago

焦点:韓国が国防支出を急拡大、警戒強める北朝鮮

[ソウル 11日 ロイター] - 韓国と北朝鮮は、2018年以来の対話の積極化とは裏腹に、軍の近代化に多額の予算を投じ続けてきた。対話が中断した今、このことは両国間に緊張をもたらしている。

 9月11日、韓国と北朝鮮は、2018年以来の対話の積極化とは裏腹に、軍の近代化に多額の予算を投じ続けてきた。写真は2017年4月に韓国・浦項で行われた米韓合同軍事演習の様子(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)

北朝鮮が最近短距離ミサイルを発射したことで、両国による軍備拡張が注目を浴びた。北朝鮮はミサイル発射によって、韓国の新たな武器からの防衛に必要な兵器が完成した、と説明している。

北朝鮮国営メディアは11日、金正恩朝鮮労働党委員長が10日に「超大型多連装ロケット砲」の試射を視察したと報じた。アナリストによると、これは韓国軍を脅かす兵器だ。

米韓合同軍事演習と、韓国による空母、ステルス戦闘機、偵察衛星などの防衛調達について、北朝鮮はあからさまな先制攻撃準備だと厳しく批判している。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信社(KCNA)は6日の論説で、韓国による新兵器システムの構築は、朝鮮半島の平和を脅かす「許されざる背信行為」と論じた。

韓国国防省にコメントを求めたが、回答が得られなかった。

韓国の国防予算はすでに世界規模で最大級だが、文在寅政権は新たに数十億ドルをつぎ込んだ。

国防省によると、2018年の軍事支出は前年比7%増の431億ドルで、8.7%増だった09年以来、最大の伸び率となった。

国防省は今年7月、韓国初の軽空母を建造すると発表。8月には20年から24年にかけて約2390億ドルを投入する計画を公表した。このうち約850億ドルは兵器改善費で、年平均10.3%増加する計算だ。

国防省は「昨今の不透明な安全保障環境を考慮し、政府は国防能力の強化に重点投資する」と説明した。

18年の韓国防衛白書によると、23年までに「軍備強化」に充てる予算は総国防支出の36%超を占め、今年の約31%から拡大する見通しだ。

建設予定の空母は、垂直離着陸ができる最新鋭ステルス戦闘機F35Bを搭載する予定だ。

この他に韓国が購入を予定している防衛装備品リストには、新たなミサイル防衛システム、最新鋭イージスシステムを備えた駆逐艦3隻超、偵察衛星および高高度の無人偵察機、対潜ヘリコプター、対潜哨戒機、巡航ミサイルと弾道ミサイルを発射できる潜水艦、誘導ミサイル搭載軍艦などが含まれる。

ワシントンのシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズのダニエル・デペトリス氏は「南北とも本格的な対立は望んでいないが、双方が有事に使える武器プラットフォームと国防資源の確保を望んでいる」と話す。

<コストのかかる軍備拡張競争>

北朝鮮にとって差し迫った懸念は、韓国が今年初めて米国から最新鋭ステルス戦闘機F35A、40機の納入した点だ。

F35Aを含めた兵器調達計画について、見境のない軍備強化であり、新たな脅威を「完璧に破壊するため」、新短距離弾道ミサイル(SRBM)の開発を余儀なくされると、北朝鮮は批判している。

デペトリス氏は「(F35によって)北朝鮮の防空・ミサイル防衛システムは極めて脆弱な状態に置かれる。北朝鮮がSRBM開発の加速で対抗しているのはこのためだ」と解説した。

北朝鮮は韓国のF35配備について、18年9月に南北が調印した軍事的緊張緩和の合意に違反するとも考えている。両国はこの時、全ての「敵対的行為」を止めることに合意したが、合意書は新たな兵器には言及していない。

アナリストによると、北朝鮮は厳しい国際制裁下にあるため、軍備拡張競争に対応できない。

推計可能な直近年である16年時点で、北朝鮮は国内総生産(GDP)の23%に相当する40億ドルを国防費に投じた。米国務省の2018年の報告書によると、北朝鮮国民の約5%が軍の任務に従事している。

<対米関係の変化>

韓国の国防支出急増は、文大統領の南北融和路線と矛盾するように見える。だが、アナリストによると、主な動機は他の問題にある。人口動態の変化や、長年の同盟国である米国との関係の変化だ。

1950─53年の朝鮮戦争以降、韓国軍と在韓米軍の戦時の作戦統制権(OPCON)は米軍が握っている。国際平和カーネギー基金(ワシントン)のアナリスト、キャスリン・ボットー氏によると、文大統領はOPCONの韓国軍への移管を政権の主要目標としており、軍備増強は米国の承認を得る上で重要な役割を担う。

また、韓国は高齢化が進んでおり、軍に従事できる若者の数も減っている。防衛白書によると、同国は軍隊の人数を現在の59万9000人から2025年までに50万人へと減らす計画で「規模は小さく、戦闘能力は強く」するのが目的だ。

ボットー氏によると、トランプ政権は韓国に米国製兵器の購入拡大と、在韓米軍の費用負担拡大を迫っている。「米国から購入できる兵器への投資を増やすことは、文氏にとってトランプ氏を味方につけておく上でも、OPCON移管と国防改革の目的を支える上でも役に立つ」という。

ただ、アナリストによると、韓国は米国依存を減らしたい意向も持っている。米国が時として最新鋭技術の共有を渋ることへの不満がその一因として存在する。

ソウル在住の西側防衛関連の高官によると、文大統領は景気が悪化して軍事支出が難しくなる前に、可能な限り単独の軍事能力を増強しておきたい考えだ。

「韓国は予算に対する比率で見て、世界で最大の軍事R&D(研究開発費)支出国への道を進んでいる。国際舞台でかつてないほど大きな立場を築こうとしている」と、この高官は話した。

(Josh Smith記者)

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