January 11, 2019 / 4:30 AM / in 2 months

コラム:米証券大手、取引所の市場支配に再挑戦

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - シタデル・セキュリティーズやモルガン・スタンレーなど米金融大手9社は7日、証券取引所「メンバーズ・エクスチェンジ(MEMX)」の新設計画を公表した。低コストを武器にニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックと張り合うのが目標だ。

1月7日、シタデル・セキュリティーズやモルガン・スタンレーなど米金融大手9社は、証券取引所「メンバーズ・エクスチェンジ(MEMX)」の新設計画を公表した。ニューヨーク証券取引所前で2018年12月撮影(2019年 ロイター/Bryan R Smith)

証券会社などブローカーと取引所は長い間つばぜり合いを続けているが、ブローカー側は過去に何度も挑戦が頓挫しており、今回はMEMX創設でこうした過去の歴史にも挑むことになる。

技術の進歩で取引コストが下がったため、証券会社は顧客からの注文を社内で突き合わせることで収入を増やし、取引所は取引を成立させるためだけに使っている。こうした動きに対してNYSEなど既存の取引所は、あらゆる取引関連データに課金することで対抗した。

その結果、米国の株式取引高では現在、取引所外取引が、どの取引所よりも大きな勢力となっている。CBOEグローバル・マーケッツによると2018年の取引高に占める比率は取引所外が3分の1強で、NYSEは20%、CBOEは18%だった。

一方で取引所は取引関連データの事業化を進めている。CBOEはデータ課金による収入が全体に占める比率が12%程度で、ナスダックは9%、NYSEを傘下に持つインターコンチネンタル取引所でも4%となっている。米証券取引委員会は昨年秋、データ料金の値上げ申請を初めて拒否した。

大手ブローカーがこうした取引データ関連のコストを引き下げたいのは理解できる。MEMX創設計画に参加したシタデルやバーチュ・フィナンシャルは超高速の取引モデルを駆使し、米株取引市場で極めて大きなシェアを握っている。頭が痛いのは、MEMXに関わる企業の大半が過去にも大手の取引所に切り込もうと試み、ほとんど実を結ばなかったことだ。

一部の努力は暗礁に乗り上げ、あるいは注文の流れの社内化にとどまった。取引所創設がある程度の成功を収める例もあったが、その場合も結局は既存の大手取引所から買収の標的となった。NYSEは2006年にアーキペラゴを買収。ダイレクト・エッジを買収したBATSグローバル・マーケッツもその2年後にCBOEに飲み込まれた。

約6年前に創設されたIEXは無料もしくは安価でのデータ提供という路線を堅持している。ただ、シェアが2.5%しかなく、影響力は限られる。MEMXは後ろ盾となっている金融機関の規模を考えると、IEXよりもはるかにうまくいきそうだが、まずは経営トップを決め、事業免許を手に入れる必要がある。しかし、また買収の標的しか生み出せないなら、関係する金融機関は取引所の創設に見切りをつけるべきだ。

●背景となるニュース

*米金融大手9社は7日、手数料の低い証券取引所の新設計画を発表した。米大手証券取引所のニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックに対抗する。新取引所の名称は「メンバーズ・エクスチェンジ(MEMX)」で、運営上の透明性向上、コストの低減、米国の株取引の簡素化を目指す。

*計画に参加するのはTDアメリトレード、バンク・オブ・アメリカ、チャールズ・シュワブ、シタデル・セキュリティーズ、Eトレード・フィナンシャル、フィデリティ・インベストメンツ、モルガン・スタンレー、UBS、バーチュ・フィナンシャルの各社。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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