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アングル:米投資家にバリュー株買い直しの動き、利上げにらむ

[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米国株投資家の一部は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に本腰を入れてよりタカ派的な金融政策運営姿勢に転じる展開をにらみ、今年序盤に人気を集めたバリュー株の買い直しを進めている。

12月3日、 米国株投資家の一部は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に本腰を入れてよりタカ派的な金融政策運営姿勢に転じる展開をにらみ、今年序盤に人気を集めたバリュー株の買い直しを進めている。ウオール街で2016年12月撮影(2021年 ロイター/Andrew Kelly)

長期的な成長が見込めるハイテクなどのグロース株と、景気と連動性がありバリュエーションが低い金融、エネルギーといったバリュー株の関係は、今年に入ってFRBの政策正常化を巡る思惑に左右される形で優劣が変転してきた。

ここ数日は、FRBが消費者物価高騰を受けて想定より早く引き締めに踏み切る兆しが出てきたため、グロース株が売られる展開だ。グロース株には、新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株の出現に伴う市場全般の動揺も影響を及ぼしている。

同時に投資家の間で、金融引き締め環境においてより堅調な値動きが期待されるバリュー株物色の動きが広がりつつある。バリュー株は今年序盤、米経済活動の再開に伴って急伸したものの、その後投資家の資金がハイテク株にシフトすると失速してしまった。

ベアードのストラテジスト、マイケル・アントネッリ氏は「FRBは資金を差し出すし、片付ける存在でもある。市場は将来の見通しを速やかに修正しているところだ」と指摘した。CMEのフェドウオッチに基づくと、3日夕方時点でフェデラルファンド(FF)先物は来年5月までに利上げされる確率は約50%と、11月初めの約31%から切り上がっている。

こうした観測を強めているのは、FRBのパウエル議長の発言。パウエル氏は、今月14─15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で債券買い入れ縮小(テーパリング)のペース加速を議論する公算が大きいとの考えを示したほか、現在の物価高についてもはや「一過性」とは表現できないと話している。

市場の地合い変化の犠牲者としては、アーク・イノベーションが挙げられる。アークは昨年、いわゆる巣ごもり銘柄への突出した投資が功を奏して他の全ての米国株ファンドをアウトパフォームしたが、3日には保有銘柄の多くが急落した影響で、株価は5.5%下がって13カ月ぶりの安値に沈んだ。

ラッセル1000グロース株指数は12月最初の3日に2.4%下落した半面、ラッセル1000バリュー株指数は同期間で0.9%近く上昇した。

ハーバー・キャピタル・アドバイザーズのマルチ資産ソリューションズ責任者スペンサー・ラーナー氏は「市場内部の動きはより急速な利上げサイクルを反映し始めており、デュレーションが長いグロース株が実際に売り込まれている」と指摘した。

FRBがより積極的に利上げするとの見方を受けて債券利回りが上昇すると、バリュエーションが高いグロース株にかかる重圧が相対的に大きくなる可能性がある。長期のキャッシュフロー価値が損なわれる恐れが出てくるからだ。一方、バリュー株はFRBによる引き締めの前提となる経済活動の強まりが追い風になりやすい。

ラーナー氏は、質が高く景気に連動し、高値で取引されていない米大型株を重視するとともに、FRBの利上げが近づく中でドル高が続くという同氏の想定が、これらの銘柄にとってプラスに働くとみている。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオ・ストラテジスト、ガレット・メルソン氏は、パウエル氏がテーパリング加速に前向きなことから、投資家が利上げの可能性に備えるため、今後数カ月はボラティリティーが一段と増大する公算が大きいと話す。利上げ前倒しは、エネルギーや金融といった銘柄を押し上げるだろうという。

もっとも来年中の利上げを予想しない市場関係者もいる。NFJインベストメント・グループのシニア・ポートフォリオマネジャー、バーンズ・マッキニー氏は、FRBがテーパリングを終えた後も利上げを急がず、金融政策の支援が全くなくなって経済がどうなるかじっくり判断した上で、2023年に利上げすると見込む。

そうした展開の下では、しばらく物価が過熱し続けるのをFRBが容認することになり、ロッキード・マーティンやハネウェル・インターナショナルといった景気循環株を買うことがより正当性を帯びてくる。両社は配当を拡大してきた歴史があり、11月初めに議会で可決されたインフラ投資法の恩恵も受けるかもしれない。

(David Randall記者)

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