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焦点:今なぜ米国株は高いのか、S&P最高値で史上最短の弱気相場に幕

[ニューヨーク 18日 ロイター] - ウォール街には、今がパンデミックのまっただ中だという情報が入ってきていないのだろうか。

米経済はなお新型コロナウイルスの感染拡大に打ちのめされ、議会は追加経済対策を巡る与野党協議が難航を続けている。それでもS&P総合500種.SPXは18日、小幅上昇して最高値を更新。史上最短の弱気相場が幕を下ろしたことを確認した。

こうした面からは、投資家はほとんどの米国の家計を圧迫しつつある悪材料を織り込んでいないように見える。だがなぜ株価が持ち直してきたのか、また今後一段と上がる可能性さえあるのかを説明できる幾つかの重要な根拠が存在する。

CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏は「一般社会は今日を生きているが、株式市場は明日を見据えている。金融と財政の大規模な対策が既に打ち出されており、製薬会社がコロナワクチンの実用化に近付いているとの確信も増大している」と話した。

金融政策に目を向ければ、米連邦準備理事会(FRB)は3兆ドル規模の支援策を表明し、リスク性資産のてこ入れに動いて社債買い入れにまで手を広げている。これにより投資家が思い出したのは「FRBとはけんかをするな」という何度も言い伝えられてきた格言だった。FRBの取り組みを議会も財政措置で後押しし、投資家を勇気付けた。第2・四半期の米企業決算で利益が予想を超えたケースが多かったことも、株価の好材料になった。

同時に、FRBが超低金利と大規模緩和を長期間継続するとの観測から、一部の国債利回りが過去最低圏に低下し、株式への資金シフトにつながった。LPLファイナンシャルの株式ストラテジスト、ジェフ・バックバインダー氏は「金融システムには潤沢な資金が滞留しており、大部分は株式市場に居場所を見つけ出している」と指摘した。

第2・四半期の米国内総生産(GDP)は大恐慌以降で最悪の落ち込みを記録したものの、市場参加者の間では比較的急速な回復を織り込

 8月18日、ウォール街には、今がパンデミックのまっただ中だという情報が入ってきていないのだろうか。写真はニューヨーク証券取引所で2018年12月撮影(2020年 ロイター/Bryan R Smith)

む動きがあり、それはシティグループが算出する経済サプライズ指数.CESIUSDからも見て取れる。

<衰えない強者の力>

足元までの大幅な株高を経て、投資家は11月の米大統領選など間近に迫ってきたさまざまなリスクに留意し始めている。大統領選結果は金融市場全体の乱高下をもたらすとの懸念がある。

バリュエーションも気掛かりな問題の1つ。S&P総合500種は今、予想利益の24.5倍と、20年前のITバブル時以降で最も高い。パンデミックの今後の推移と経済成長に及ぼす影響が、このバリュエーションを正当化することになるかどうか不透明な面も大きい。

ニュービーンのシニア・ポートフォリオマネジャー、ボブ・ドール氏は「好材料になり得る要素のほとんどはもう相場に織り込まれ、バリュエーションは限界に達した様相を呈し始めている」と警戒する。

また一握りの巨大IT銘柄に投資が集中してS&P総合500種の上昇を主導してきたので、これらの株を保有する投資家が一斉に売る決断を下した場合、株価急落リスクが大きいのではないかとの不安も高まっている。

現状では、マイクロソフトMSFT.O、アップルAAPL.O、アマゾンAMZN.O、グーグル親会社アルファベットGOOGL.O、フェイスブックFB.Oの5社だけで、S&P総合500種の時価総額の22%強を占めるまでになった。

ハイテクと通信のセクターを合計すれば、S&P総合500種の時価総額の約4割に達する。ただ企業利益のウエートも同様であることも重要な意味を持つ。

さらにLPLファイナンシャルのバックバインダー氏は、債券利回りが歴史的低水準にあって将来のリターンが限られる点を踏まえると、ハイテク株の妙味は増大するばかりに思えると主張。第2・四半期に見られたハイテク株高騰は今期になって勢いが鈍ってきたとはいえ、ハイテクが市場全般をアウトパフォームしている状況は変わっておらず、同氏は「勝ち組と負け組の差は開き続けていて、強者はどんどん強くなっていく」と述べた。

(David Randall記者、Saqib Iqbal Ahmed記者)

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