February 5, 2018 / 12:29 AM / 9 months ago

日米で株価急落:識者はこうみる

[5日 ロイター] - 2日の米国株式市場は、ダウ工業株30種が約666ドル下落し、約9年ぶりの大幅な下げ幅を記録した。5日の東京株式市場でも、日経平均株価が一時600超下落した。

 2月5日、米国株式市場が2日、ダウ工業株30種が約666ドル下落し、約9年ぶりの大幅な下げ幅を記録したことを受け、週明けの日経平均も大幅下落となった。ニューヨーク証券取引所で2日撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

市場関係者の見方は以下の通り。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

米10年債利回りは、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが昨年12時点で想定していた中立金利(2.75%)を突破し、2.8%台に上昇してきた。中立金利は「利上げの終点」であると同時に「長期金利の上限」とも目されてきただけに、いよいよ天井感を帯びてきたことは否めない。先週2日にダウ工業平均が600ドルを超える下落となったのも、金利上昇を嫌気し始めたものであり、昨年来のゴルディロックス(適温)状態が崩れる兆候として受け止めている。市場では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げによって米金利が上昇、日米金利差が拡大した結果、ドル高/円安になるとの理論展開もみられるが、ここには懸念されるはずの株価下落や金利感応度の高い消費・投資の減速といった金利上昇の「負の側面」が考慮されていない。それが円安シナリオの決定的な弱点だと思う。株価は景気の先行指標である。今後、金利上昇を嫌気した株価の調整が続くとするならば、リスクオフムードが市場で支配的となり、ドル/円は買われない。FRBも利上げが難しくなり、逆に、政策金利見通しの下方修正や、利上げの継続断念といったリスクも浮上してくるだろう。ドル安/円高の方向に向かう確率はかなり高いとみており、3月末までに105円方向を目指す展開もあり得る。

<みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト 山本雅文氏>

1月に入って以降、日欧金融政策の早期正常化期待や米国のドル安政策への懸念から、対ユーロや円でドル安圧力が掛っていた。

しかし、その後、日銀も欧州中央銀行(ECB)に早期正常化を否定し、日欧当局は通貨高けん制を行った。そして、米国も改めてドル安政策誘導を否定した。

1月の米雇用統計では賃金上昇率の加速が明確になり、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの間でもハト派が後退してきている。

こうした環境で、これまで相関を失っていた米長期金利にドルが反応しやすくなってきており、ドルがさらに上昇する余地があると考えている。

ただし、米国株の調整が深いものとなり、米国を起点とした世界的な株価調整が続くようであれば、金融市場でリスク回避のセンチメントが台頭し、円高圧力が相対的に強まるリスクがある。

一方、ドイツではメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)との大連立に向けた交渉が予定通りにまとまらず、きょう以降も継続されることになった。労働や医療分野につき交渉が難航しているもようで、本日中に合意されても、SPDの党員投票で否決されるリスクが残っているため、ユーロの重しとなりそうだ。

<外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也氏>

昨年来、ドル安・米長期金利低迷(債券高)・米株高という流れだったが、ここ数日、これがまったく反転している。去年の流れの反動が出ていると考える方が自然ではないか。

先週末の米雇用統計は米株安につながったものの、米株はこれまで一方的に上昇し、史上最高値圏に来ていたこともあり、調整のタイミングをうかがっていた面もあるだろう。ファンダメンタルズを考えれば企業業績も悪くなく、仮に株安となれば、トランプ減税の効果で企業側が自社株買いに動きやすくなる。そういう意味で株価の下げはそれほど長くは続かないとみている。

株価はこれまで程は上がりにくくなったかもしれないが、今後、米金利上昇に連れてドル高となるのではないか。3月に向けては米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点だ。今年のメンバーは去年よりタカ派色が強いとされ、インフレの加速を予想するメンバーの意見を反映し、少しタカ派的なメッセージが出てくる可能性が高そうだ。

年初からのドル安も巻き戻され、ドルは3月末まで108─114円のレンジをみている。

個人投資家は目先、ドル売り目線になっている。108円台で買い込んだドルを、110円を超えたあたりで利益確定させている。加えて、現在の株安をみて円が強くなるとの見方からドル売りポジションを増やす動きも出ている。個人投資家はドルに関して、利益確定と新規の売りの両方が出ている。

<いちよしアセットマネジメント 上席執行役員 秋野充成氏>

ゴルディロックス(適温相場)を期待する市場のバイアスがいったん修正されて株安になっている。原油高や賃金上昇によって、明確ではないにしてもインフレが上昇する気配が出てきたことで、長期金利が上がっている。その上昇ペースは市場の想定より速かっただけに、株式相場が修正されるのは当然だ。

日経平均は3月末にかけて2万2500円程度が下値のめどとみているが、これは円高がこれ以上、進まないシナリオに基づく。米株がさらに下落したり米金利がもう少し上昇したりして円高が進むようなら、日本株はもう一段下落して2万2000円割れをうかがうリスクもある。今の局面では、米金利が上昇して金利差が拡大しても円安でなく円高になる。日銀が出口戦略に向かうとの思惑が出やすいためだ。   

もっとも、中長期でのゴルディロックス・シナリオは崩れない。米連邦準備理事会(FRB)も、性急な金融引き締めはしたくないはずだ。逆資産効果で実体経済が下振れる恐れがあるためだ。トランプ政権の政策に反するし、仮に金融危機につながってしまえば、そのコストは莫大だ。リーマン・ショックの際には金融緩和で対応したが、今は金融政策でできる余地は狭まっている。   

このため、短期の修正局面が落ち着けば、景況感が拡大するほどには金利の上昇ペースは速まらない状況に戻るだろう。年末にかけて2万7000円方向に向かうという見通しを変える必要はないとみている。

<三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト 内田稔氏>

ドル/円は上下両方向にブレーキがかかる材料があり、大きく方向感が出にくい展開を予想する。日銀が国債買い入れオペの増額や「指し値オペ」を実施し、年初から市場の一部にあった政策変更に対する思惑を強くけん制した。日銀のスタンス変更を材料にした仕掛け的な円買いはしばらくないだろう。クロス円を含めて円安圧力が加わりやすい。   

また、年初からドル安の流れが続いてきたのは、米株式市場が堅調な中、米国の投資家が米国以外の国に対して投資をする、株高、リスクオン、ドル安という側面があった。米株式市場が崩れ、それが逆回転する可能性が出てきた。ドル安/円高が進みにくくなったと思われる。   

一方、米金利上昇は、金利差の観点からすると円安の材料ではあるが、株価の下押し材料になってしまう。市場が不安定な状況が続くとすると金利差拡大による円安にもなりにくい。ドル/円は上下どちらにも動きにくい。3月末にかけて110円を挟み、108.00─112.00円近辺で推移するとみている。

<三菱UFJ国際投信 チーフストラテジスト 石金淳氏>

米国株は昨年11月末以降、『噴水型』の上昇となっていた。それだけに一発目の下げは鋭くなる。需給調整には時間がかかるだろう。数日では終わることはなく、1カ月から1カ月半くらいは調整の局面が続くとみている。

米国株の上昇スピードはどうみても日本株より速く過熱感もあった。少なからずの投資家が調整やむなしとみていた。ただダウが2万4000ドル前後まで下落すれば、11月末から12月初旬ころの水準に戻る。そこまで調整すれば十分とみることも可能だ。

日本株も同程度の期間の調整が見込まれるが、大勢としての上昇波動が崩れた訳ではない。200日移動平均線など長期の移動平均線は上向いている。ファンダメンタルズや企業業績はしっかりしている。日経平均でいえば、昨年11月9日に高値を付けた後、ザラ場ベースで1400円程度調整したボトムの2万1972円(11月16日安値)が次のターゲットとなるだろう。本格的な反発は3月下旬ぐらいに入ってからとみている。

ドル/円は上値が圧迫されている印象があり、テクニカルでみてもあまり形は良くないが、すぐに108円や107円を割っていくとも見込みにくい。米雇用統計の内容は良好で、年4回の利上げもあるのではないか、との見方も出ている。円高懸念もあるが、米金利の上昇がドル/円をサポートするとみている。

<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートの国際資産配分戦略責任者、トレイシー・マクミリオン氏>

この1年間は非常に良かったが、このペースを続けることはできない。使い古された言い方に聞こえるかもしれないが、この段階での下落は非常に歓迎すべきものだ。こうした戻りがなく過ぎていくとすれば、そのほうが不安だ。市場に幾分慎重さが戻ってきたことは喜ばしい。

著しい弱気相場をもたらす要因は何もない。もし1週間で3.5%下落すればわれわれは買いを入れる。依然として押し目買いを入れる状況だと認識している。

<ヨハネストレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏>

重要な点は、国債利回りが上昇し続けていることだ。今日の午後は新たな水準に達した。午後0時半ごろ押し戻そうとする動きがあったがうまくいかず、再び上昇し始めた。

雇用統計は堅調な景気を示す内容で、これも利回り上昇の一因だ。

株価は債券に比べて割安というのが強気市場の重要なマントラの一つで、債券はどんどん値を下げている。そのため市場参加者は利益を確定しようとしている。

<ブライト・トレーディングの市場ストラクチャー部門責任者、デニス・ディック氏>

ややパニック的な動きがあった。これは何かより大きなものの始まりかもしれない。

決算発表を受けて売られるなど、多くの銘柄について同じようなパターンがみられた。現在、あらゆるものが利益確定の口実となっている。長期にわたって株価上昇の波に乗ってきた運用担当者が、資金を引き揚げつつある。

*内容を追加します。

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