October 10, 2018 / 10:40 PM / 9 days ago

日米で株価大幅安、円高が進行:識者はこうみる

[11日 ロイター] - 米国株式市場は下落して10日の取引を終えた。S&P500総合は2月8日以来の大幅安。米債利回りの上昇を背景にリスク選好度が低下する中、ハイテク株を中心に売られた。為替も円高方向に振れたことを受け、日経平均株価は一時800円超安となった。市場関係者のコメントは以下の通り。

 10月10日、米国株式市場は下落して取引を終えた。S&P500総合は2月8日以来の大幅安。為替も円高方向に振れたことを受け、日経平均株価は一時800円超安となった。ニューヨーク証券取引所で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

<三井住友トラスト・アセットマネジメント シニアストラテジスト 上野裕之氏>

米国株の大幅安の背景と言われている米中貿易摩擦や米金利上昇は昨日に始まった話ではない。ダウは先週にかけて史上最高値を更新し、やり過ぎ感が出ている中、調整のきっかけに使われた。引けにかけては利益確定やアルゴリズム取引による機械的な売りも下げ幅を拡大する要因になったと思われる。

日経平均は海外の流れを引き継ぐ形で全面安となり、一時800円を超える下げとなったが、下がれば買いたいという向きも多い。これから発表が本格化する企業決算はそれほど悪くないだろうし、ドル/円も企業の想定レートに比べて円安水準で推移していることを考えれば、日本株が一段と崩れていく要素はなさそうだ。2万2000円を割り込む展開は想定しにくい。

前日、安川電機(6506.T)は2019年2月期の業績予想を下方修正した。中国関連と設備投資関連が両方絡むような銘柄はしばらくきついだろう。業種別では不動産や食品など内需・ディフェンシブ系が相対的に資金の置き場として選好されやすい。

<JPモルガン・アセット・マネジメント グローバル・マーケット・ストラテジスト 重見吉徳氏>

米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対し、トランプ米大統領が反対するような発言を続けている。米国株自体は高い位置にあり、どこかで調整をしなければならなかった。財政出動の効果も、どこかではく落する。景気がスローダウンしたときに、誰のせいにするのかといった時、中央銀行のせいにするのではないかと考えていたが、全てをFRBに押し付けようとしている感覚がある。米国の長期金利の上昇を促した根底にあるのは中央銀行の政策というより、景気の過熱感と財政出動によるインフレ懸念だ。

米中間選挙までは米金利の動向を注視する相場が続きそうだ。トルコと同様、トランプ米大統領の中央銀行に対する発言でマーケットがネガティブに反応しやすい。これまでテックブームを背景に米国株が動いていた部分もあったが、ハイテクセクターにポジションが傾いていた。以前と比べ警戒感も高まっている。米国株は下げが大きかっただけに、チャートだけをみれば若干の戻りはあるかもしれないが、当面は上値の重い展開が続きそうだ。

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

金融市場では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを積極的に推進していくという予想が根強く、米長期金利を押し上げていた。

しかし、こうした利上げ予想は、結果的に米株式市場にネガティブな材料として意識されはじめ、昨日の米国株急落につながった。また、ちょうど米企業の決算時期と重なり、米企業が自社株買いを行いにくいタイミングであることも影響したとみている。

ドル/円については、つい先日まで市場参加者の目線は114円、115円と上向きだったが、短期的には111円半ばから113円程度と下向きにレンジが調整されたとの見方をしている。

最も懸念するのは、米国と中国の緊張関係だ。両国のいがみ合いは貿易問題を超えて、お互いの体制にまで及んできたという印象がある。このままいけば、中国経済が痛手を受け、中国経済の減速により、米国経済も痛手を受けるという悪循環に陥っていきそうだ。

為替市場では、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)という不透明要素も残っている。

現時点ではブレグジットに対して楽観的な見方が広がっているが、いつ悲観的なものに転換してもおかしくないとみている。

ブレグジットにまつわる悲観が台頭すれば、ポンド売り/円買いのうねりが起こり、対ポンドでの円買いが対ユーロや対ドルに波及すると予想され、ブレグジットがらみの円高リスクについても注意が必要だ。

<トウキョウフォレックス上田ハーロー 営業推進室長 阪井勇蔵氏>

ドルは早朝112.10円まで下落し、3週間ぶり安値を付けた。

足元でのドル/円の急落は、米国株の大幅下落によるリスク回避の円買いと、米長期金利の急低下を背景とするドル売りが組み合わさった、ダブル効果によるものだ。特に、円では投機筋が保有する先物の円売りポジションが11万4000枚(2日時点)と前週から35%も膨らんでいただけに、円を買い戻す余力がまだ十分残されているとみられ、111円台も照準に入っている。

今回の株価の調整については意外感が少ない。米国株は10月初旬まで連日最高値を更新しており、こうした一本調子の上昇の反動がいずれ来ると多くの投資家は予想していた。米長期金利が低下したのも、株からの逃避資金が流入したためだろう。トランプ大統領が指摘するように、一時的な調整の範囲内で収まるかもしれない。

一方で、米国の中国のいさかいについては、今後も株式や債券市場にとって引き続きネガティブな材料となりそうだ。

9日に発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、米国と中国の貿易摩擦悪化を背景に、2019年の世界全体の実質経済成長率の予想を3.7%と、7月時点から0.2%ポイント引き下げた。ムニューシン財務長官は10日、英紙とのインタビューで、人民元の大幅下落について注視していると述べ、中国との貿易協議に通貨問題も絡める姿勢を示唆した。

米国と中国が先が見えないつばぜり合いを続けるなかで、ドル/円も上値試しには慎重となり、下値リスクが意識されやすい環境になるとみている。

<ブルーダーマン・アセット・マネジメントの副会長兼首席市場ストラテジスト、オリバー・パーシェ氏>

おそらく調整の始まりだろう。第3イニングだ。企業業績が鍵になる。大きな懸念は第3・四半期決算ではなく、第4・四半期や来年度第1・四半期の見通しがどうなるかだ。関税の影響によって、第4・四半期の見通しがかなり大幅に修正される可能性がある。これが市場の懸念の一因となっているのではないかと考える。取引高をみると、売りが売りを呼んでいることは間違いない。

<インバーネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏>

さまざまな物事の蓄積の結果だ。

債券が再び売られ始め、金利上昇観測が投資家を懸念させた。さらに現在は、市場を大きく後押ししていた企業の自社株買いの禁止期間に入っている。目先には中間選挙が控える。一般的には、民主党が下院を支配し、共和党が上院の過半数議席を維持する見通しだ。ただ民主党が上下両院で過半数を確保する場合、これまでの景気刺激策の存続が危うくなる可能性がある。これが懸念となっている。

株価急落にファンダメンタルズの問題はない。

<ガレーン・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、トリップ・ミラー氏>

経済が要因ではない。経済は力強く、失業率も数十年ぶりの低水準だ。市場は10年にわたって強気相場が続いてきた。その10年間に10%の調整がみられたことはほとんどなく、それほどの大幅な調整に近づくたびに市場は反発してきた。

今回は何が違うかというと10年債の利回りがかなりの高水準になっていることだ。われわれは長年延び延びになっていた調整が起きているのだと考える。バリュエーションの調整と金利を巡る懸念が要因だろう。

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