December 20, 2017 / 5:34 AM / 4 months ago

焦点:米税制改革、市場で見方分かれる利益押し上げ効果の持続性

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 法人税率の引き下げを盛り込んだ米税制改革法案が成立する見通しとなり、米株式ストラテジストは来年の企業業績予想を大幅に引き上げている。ただ、減税による利益押し上げ効果の持続性を巡っては、市場関係者の間で見方が分かれている。

 12月19日、法人税率の引き下げを盛り込んだ米税制改革法案が成立する見通しとなり、米株式ストラテジストは来年の企業業績予想を大幅に引き上げている。ただ、減税による利益押し上げ効果の持続性を巡っては、市場関係者の間で見方が分かれている。写真は米連邦議会議事堂。ワシントンで18日撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

2018年の業績予想にはばらつきがあるが、減税を織り込まない時点で1桁台半ばと予想されていた利益の伸び率は、足元で概ね2桁台に上方修正されている。トムソン・ロイターのデータによると、S&P総合500種構成企業の今年の増益率は推定11.9%となっている。

クレディ・スイスの米株ストラテジスト、ジョナサン・ゴルブ氏は「(税制改革法案が)業績予想を押し上げた。(税制改革で)全て見直しだ」と述べた。

米国を含む世界経済は拡大基調にあり、需要は堅調で金利も低いことから、そもそも来年の企業利益は順調な伸びが予想されていた。そこに減税効果が新たに加わり、企業業績は一段と弾みがつきそうだ。

ストラテジストの間では、法人税減税によって来年は利益が7%程度から10%強増えるとの予想が大勢。一部の予想は法人税率を20%に引き下げるとしていた修正前の法案に基づいた試算だ。

UBSが15日に発表したのは最も新しい予想の1つで、S&P総合500種構成企業の1株利益が減税により9.1%押し上げられるとみている。

一方、減税による企業利益押し上げがいつまで続くかは不透明だ。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米株・クオンタティブ・ストラテジー部門の責任者、サビタ・サブラマニアン氏は「効果の持続性ははっきりしない」との立場。S&P総合500種構成企業の1株当たり利益の押し上げ効果を、海外から本国への資金引き揚げを含めて19ドル、約14%とはじき出したが、経常利益ベースの効果は11ドル、8%程度にとどまるとみている。

サブラマニアン氏は今月初め、企業が減税による増益を一時的なものと捉えるとの見方を示した。例えば米アマゾン(AMZN.O)との競争にさらされている小売業者は、減税による増益分を売上高の拡大や販売促進に充てる可能性があるという。

サブラマニアン氏は「減税によって本当に利益が押し上げられるのかは、長い目で見守る必要がある」と述べた。

トランプ氏が昨年秋に大統領選で勝利してから、米国の株価は既に急上昇しており、企業利益は株価に見合う水準からかなり離れている。

これに対してクレディ・スイスのゴルブ氏らは、企業が減税を受けて経営計画を修正することから、業績の効果は減税当初にとどまらず、企業利益が数カ月にわたり増加するとみている。

BB&Tウェルス・マネジメントのシニア・バイス・プレジデント、バッキー・ヘルウィグ氏は「企業利益は来年大幅に増えるが、下期に予想外の効果が出るだろう」とみている。「減税によって企業は増配や自社株買い、雇用などで柔軟性が大幅に高まる見通しだが、こうした項目を把握するのは難しい」と話した。

(Caroline Valetkevitch記者)

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