August 18, 2018 / 11:10 PM / a month ago

アングル:米国企業のレパトリ鮮明に、海外で米国債保有低下

[ロンドン 16日 ロイター] - ドル資金が米国に戻りつつある。アイルランドからバハマに至る税制優遇地域で今年になって米国債保有が減少した。これはトランプ政権の税制改革を受け、米企業が海外に保有してきた利益の本国還流(レパトリエーション)を表している。

 8月16日、ドル資金が米国に戻りつつある。アイルランドからバハマに至る税制優遇地域で今年になって米国債保有が減少した。写真はドル紙幣。2月撮影(2018年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)

米国を拠点とする多国籍企業が、これまでに現金もしくは米国債などの流動資産として海外に積み上げた利益の総額は3兆ドルと推定される。米国に戻さない限り、海外で稼いだ利益に対する税金の支払いは繰り延べを認めるという税制になっていたためだ。

しかしトランプ政権がこうした「繰り延べ」ルールを廃止すると同時に、企業が海外利益を米国に戻すなら現金には15.5%、非流動資産には8%の税率を適用するという改革を実施し、資金還流の強力なインセンティブが生まれた。

これらの税率は、以前に還流した場合に適用された35%よりずっと低く、現在の法人税率の21%も下回っている。

結果として今年第1・四半期だけで3000億ドルが米国に戻ったことが、国際収支統計で分かる。

米財務省の国際証券投資統計(TICデータ)を分析すると、税率が低かったり米企業の海外拠点がある、もしくは単にファンド運営や資産管理の本拠地として有名な10地域で、米国債保有が減っている。

米国のハイテク企業や製薬企業の欧州拠点になっているアイルランドは、1─6月で米国債保有額が280億ドル減少。スイス、バミューダ、バハマ、オランダの米国債保有額も急減し、こうした性質の地域で増加したのはケイマン諸島だけだった。

ロンバー・オディエのチーフ投資ストラテジスト、サルマン・アフメド氏は「米国債保有の落ち込みが主に税制面の事情に起因しているのは明らかだ。(米国への)資金還流が大規模に発生し、ハイテク企業が目立ったけん引役になっている」と述べ、米国債から自社株買いに資金が移動していると付け加えた。

TICデータには、どの企業が資金を戻したかや実際に資金還流が原因で米国債保有が減少したのかを確かめる材料は存在しない。ただし各企業の米証券取引委員会(SEC)への届出書類によると、アップルやグーグル、マイクロソフトの足元の米国債保有額は2020億ドルで、昨年末の約2200億ドルより少ない。

アップル1社だけ1─3月に235億ドル相当の自社株買いを実施し、今後の自社株買い資金にさらに1000億ドルを振り向けた。

そして資金還流が本当に海外の米国債保有を減らしているとすれば、流れは続くはずだ。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリスト、キャロル・チャン氏は、アイルランドの米国債について同国がそれほど多くの外貨準備を持っていない点から全て民間保有だと確信していると話した上で、米ハイテク各社はアナリストとの電話会議で資金還流計画に言及したものの一度に全部戻ってくるわけではないだろうとみている。

(Ritvik Carvalho、Sujata Rao記者)

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