[ワシントン 7日 ロイター] - 米商務省が発表した1月の貿易収支によると、赤字が前月比5.0%増の566億ドルと、2008年10月以来約9年ぶりの高水準となった。輸出が落ち込んだ。
赤字幅は、ロイターがまとめたアナリスト予想(551億ドル)を上回った。前月の赤字は531億ドルから539億ドルにやや上方修正された。
1月の赤字幅拡大は、商品価格の上昇を反映した面もある。
対中貿易赤字は16.7%増の360億ドルとなり、2015年9月以来の高水準となった。対カナダ貿易赤字は65%拡大して36億ドルと、3年ぶりの高水準を付けた。
米国の貿易赤字はトランプ氏が大統領に就任した昨年以降も拡大を続けている。こうしたなかトランプ氏は国内産業の保護に向け、鉄鋼やアルミなど一部輸入製品に対する関税の導入を検討している。
これについてMUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「トランプ政権の貿易政策は時代に逆行するものだが、全米にある何千もの企業がこれまで長い時間をかけて築いてきた取り決めを妨げることから、果たしてうまくいくかどうか疑わしい」と述べた。
実質の貿易赤字を示す、インフレ調整後の1月の貿易赤字は697億ドルと、前月の685億ドルから増加した。第4・四半期平均(668億ドル)を上回った。2━3月の赤字幅が縮小しない限り、第1・四半期の国内総生産(GDP)を貿易が下押しする可能性もある。
1月は輸出が1.3%減の2009億ドル。民間航空機や原油出荷が低迷した。ただ、消費財輸出が過去最高、自動車・部品・エンジン輸出も14年7月以来の高水準に達した。
対中輸出は28.1%減った。
輸入は変わらずの2575億ドル。携帯電話や民間航空機の輸入が減った。原油輸入は価格上昇を反映して22億ドル増えた。
中国からの輸入は2.9%増加した。
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