July 12, 2018 / 2:37 AM / 2 months ago

コラム:トランプ貿易戦争の脅威に目覚めた米国、既に手遅れか

[ワシントン 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 減税に浮かれていた米国が、ようやく「貿易戦争」の脅威に目を覚ましつつある。米政府が10日、追加関税を課す2000億ドル相当の中国製品のリストを公表すると、与党・共和党議員や企業が一斉に警鐘を鳴らした。

 7月11日、減税に浮かれていた米国が、ようやく「貿易戦争」の脅威に目を覚ましつつある。2017年北京で撮影(2018年 ロイター/Damir Sagolj)

本来ならもっと早くそうできたはずなのに、彼らはトランプ大統領が打ち出した減税計画に酔いしれていたのだ。そして気が付けば、もう手遅れになっているのかもしれない。

トランプ氏はずっと前から不公正な貿易慣行をやめさせるために関税を利用するのが好ましいとの姿勢を表明していた。2016年の大統領選中には、中国やメキシコ、米国から生産拠点を海外に移した大手自動車メーカーに関税を適用すると示唆した。今回の追加分を含めると、制裁関税の対象にされる中国製品は総額2500億ドルに達する。

ところが共和党議員や企業は長らく、法人減税法案に目を奪われてきた。

昨年を通じて、トランプ氏が鉄鋼・アルミニウムの輸入状況や中国に盗用された知的財産について調査を命令していた間、共和党が多数を占める議会と企業の関心は、減税法案が可決するかどうかに集まった。

今年に入ってトランプ氏が太陽光パネルと洗濯機に輸入関税を発動した際にも、議会や企業が相当な落ち着きを維持していたのは、昨年12月に成立した減税の効果で説明できるだろう。その後3月には米政府が鉄鋼・アルミの輸入制限を発動し、6月には米国の同盟国に対する適用除外措置が解除され、4月には初めて中国を標的とした関税が発表された。

一方、議会は春頃になってトランプ政権の通商政策に関する公聴会を開催し始め、最近ではコーカー上院議員(共和党)が安全保障を根拠とする大統領の輸入関税導入には議会の承認を義務付ける法案を提出した。だがこうした取り組みは一向に進展していない。

ビジネス界も対応に本腰を入れ出した。

 7月11日、減税に浮かれていた米国が、ようやく「貿易戦争」の脅威に目を覚ましつつある。4月に米カリフォルニア州で撮影(2018年 ロイター/Noah Berger)

減税実現に熱心だった米商工会議所は今月、各国が報復措置を講じていることで米国の輸出が脅かされていると訴える活動を開始。小売業界などの団体も、懸念をあらわにしている。

それでも事態は全面的な貿易戦争に突入しており、米国も各国も後戻りする気配は見えない。

トランプ氏は、中国が報復するならさらに関税を拡大すると発言している。11月の中間選挙が近づいてきた以上、共和党議員も自分たちの選挙戦に忙殺され、一致団結して通商政策の行き過ぎた部分を元に戻そうとする余裕などないだろう。

●背景となるニュース

・中国は11日、米国が打ち出した2000億ドル相当の中国製品への追加関税措置に報復すると発表したが、具体的な措置は明らかにしなかった。中国外務省の報道官は足元の状況について「多国間主義と一国主義、保護主義と自由貿易主義、力とルールの闘い」と評した。

・米通商代表部(USTR)は10日、追加関税対象とする中国製品のリストを公表。ライトハイザー代表は、米政府が6日に発動した340億ドル相当の中国製品向け輸入関税に中国が同額の報復措置を実施したことに対応したと説明した。

・下院歳入委員会のブレイディ委員長は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席に首脳会談を開いて貿易摩擦を解決するよう求めた。上院財政委員会のハッチ委員長は、政府の輸入関税を「無謀な」行為だと指摘した。

・全米小売業協会(NRF)などの業界団体も輸入関税を批判。NRFの政府関係担当バイスプレジデント、デービッド・フレンチ氏は、消費者向け価格上昇をもたらすと主張した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

 7月11日、減税に浮かれていた米国が、ようやく「貿易戦争」の脅威に目を覚ましつつある。2013年、北京で撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

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