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アングル:昼は美容師、夜はドローン撃墜 ウクライナの防衛隊員

[キーウ 19日 ロイター] - 昼間は美容師として働くオレクサンドル・シャムシュールさん(41)には「夜の顔」がある。数万人のボランティアとともに、ロシアによる攻撃からウクライナの空を守る「ドローンハンター」として活動しているのだ。

ロシアが侵攻を開始してから24日で1年になる。前線から遠く離れたウクライナの都市部にはロシアのミサイルやドローン(無人機)が撃ち込まれ続けているが、ウクライナ側はこれらを撃墜する腕を各段に上げている。シャムシュールさんは、この仕事に誇りを持っているという。

シャムシュールさんが所属する領土防衛隊には、普段は弁護士や実業家として働く人もいる。首都キーウ(キエフ)やその周辺で空襲警報が鳴ると、イラン製のドローン「シャヘド136」を探し出し、第二次世界大戦でも使用されていた機関銃で撃ち落とすことが任務だ。

「私はとても幸福な人間だ。なぜかって。私が国を守り、ウクライナ人を守っているからだ」

シャムシュールさんは定位置の屋上に立ち、距離計を搭載した熱探知カメラを使って月明かりが照らすキーウ上空をくまなく捜索しながら語った。近くでは、同僚の隊員が旧ソ連製の機関銃の緑色の銃身を調節していた。

「だが同時に、美容室で働き、お客さんの髪を切りながら世間話をするといった、得意な仕事も並行して続けることができている」

昨年冬に、武装した数万人のロシア兵がウクライナに侵攻し、キーウなど複数の都市に砲撃を開始してきた時、市民として「どこか他の場所に逃げ隠れること」は考えもしなかったとシャムシュールさんは話す。

「敵がそこまで迫る中、何かしらの行動を起こさなくては、防衛のため立ち上がらなくてはいけなかった」

12月29日から30日にかけての夜間、シャムシュールさんはキーウ上空を飛んでいたドローン2機を屋上から撃墜した。彼の所属するチームは、習得した技術を他の部隊にも教えている。

シャムシュールさんの迷彩柄の軍服には、いくつものバッジが光る。中には英語で「ドローンハンター」と書かれたものや、「ロウニン」(日本の浪人)とウクライナ語で書かれたものもある。シャムシュールさんは「ロウニン」を戦場名として使っている。

戦前に予備兵を務めていたシャムシュールさんは、ロシアによる侵攻開始直後に、所属していた軍事基地がロシアの攻撃で破壊されたと知らされた。そこで領土防衛隊に参加し、当初は市民への食料配給や避難支援を行っていた。

美容室で客の髪を整えるシャムシュールさんは、まだカーキ色の軍用シャツを身に着けていた。ただ、「光」のような平和な生活とは対照的な「闇」の側面だからと、客とは戦争の話をしないよう心掛けているという。

(Margaryta Chornokondratenko記者、Yiming Woo記者)

*動画を付けて再送します。

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