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コラム

コラム:暴動で負のスパイラルに陥る米国の「経済格差」問題

[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 新型コロナウイルスがもたらした教訓の1つは、感染症のパンデミック(世界的大流行)が既存の傾向に拍車を掛け得るということだ。米国における既存の傾向の1つは所得格差、そして格差と人種との結びつきだ。

5月29日、新型コロナウイルスがもたらした教訓の1つは、感染症のパンデミック(世界的大流行)が既存の傾向に拍車を掛け得るということだ。写真は31日、ホワイトハウス前で抗議活動に参加する男性(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

黒人のジョージ・フロイドさん(46)が警察に拘束された際に死亡したことで、米ミネソタ州ミネアポリスで暴動が勃発した。暴動は、ただでさえ大きい米国の資産・所得格差をさらに拡大させ、米国経済を悪循環に陥れる恐れがある。

折しも新型コロナでは、黒人層などマイノリティー層の死亡率が白人に比べて格段に高く、経済的な打撃も低所得層の方が大きかった。米国全体の失業保険受給申請件数は4000万件を超えている。

抗議活動や暴動の原因は複雑だが、格差が契機になったのは明らかだ。1967年のデトロイト暴動から92年のロサンゼルス暴動に至るまで、政治的な暴動はしばしば、経済的な不公正への懸念と絡んでいた。

ミネアポリスで人々の怒りは、アフリカ系米国人コミュニティーと警察との長年の関係が引き金になっているが、パンデミックによってあらわになった厳しい経済格差が影響した可能性もある。

米ブルッキングス研究所によると、2016年現在、白人世帯の資産は黒人世帯の平均約10倍で、この状況が改善する見通しは乏しい。マッキンゼーの5月の調査によると、食品サービス、小売り、医療など、今回の危機で最も大きな影響を受けた産業は、マイノリティー層が経営する零細企業や、こうした層の雇用の割合が最も大きい産業でもあった。新型コロナ危機の直前には、黒人とヒスパニック系の失業率が過去最低に下がっていた。それだけにこの結果は厳しい。

皮肉なことに、大規模な経済活動停止が社会の緊張を高め、弱者に最も打撃を与えたにもかかわらず、再雇用を後押しするのに不可欠な経済再開は、今回の暴動によってずっと難しくなる。

こうした暴動により、低所得地域が不釣り合いな割合で大きな影響を受ければ、そうした地域での経済復興は最も難航しかねない。経済格差と社会不安は、相互作用を起こすことがある。だからこそ、コロナ後の経済復興では格差対策を中心に据える必要がある。

●背景となるニュース

*ミネソタ州ミネアポリス近郊で25日、白人警官が黒人のジョージ・フロイドさんを偽札を使おうとした容疑で逮捕する際、膝で首を地面に押し付け、フロイドさんはその後死亡。フロイドさんが「息ができない」とうめく動画が拡散された。

*同州のワルツ州知事は、暴動が2夜続いたのを受け、28日に州兵を動員した。知事は、銀行や食料品店、薬局、その他生活必需品・サービスを提供する施設への被害を防ぐため、市全域に州兵を配置したと発表。

*ミネアポリスの暴動はミネソタ州の首都など国内の他地域にも拡大。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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