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アングル:米株ボラティリティー低下に賭ける取引が復活

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米国株のボラティリティー低下に賭ける取引が復活しつつある。

 5月28日、米国株のボラティリティー低下に賭ける取引が復活しつつある。3月19日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

こうした取引を行う上でよく利用されるプロシェアーズ・ショートVIX短期先物上場投資信託(ETF)の資産額は過去半年でほぼ倍増し、5億6200万ドルに達した。

ボラティリティー上昇で利益が得られる商品の売り持ちでも、投資家は大もうけしている。例えばS3パートナーズが年初から5月14日までをまとめたデータによると、バークレイズiパス・シリーズB・S&P総合500VIX短期先物上場投資証券(ETN)の売り持ち投資家の合計評価益は3億1900万ドルと、今年に入って売り持ちを仕掛けたETFで最大級の収益をもたらした。

ボラティリティー低下に賭ける取引は、新型コロナウイルスのパンデミックが発生する直前までの市場が極めて安定していた時期に人気を博した。トールバッケン・キャピタルのマイケル・パーブス最高経営責任者(CEO)は、それから1年余りを経て「市場参加者が徐々にこの取引に戻ってきている」と話す。

実際S&P総合500種が2020年3月の底値から90%上昇する過程で、ボラティリティーは着実に下がり、投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX)は足元で約15カ月ぶりの低水準で推移している。

株価の変動は引き続き抑えられるという投資家の観測を強めているのは、米連邦準備理事会(FRB)が最近の物価急上昇にもかかわらず空前の大規模緩和維持の方針を一層鮮明にしていることや、バイデン政権がさらに数兆ドル規模の経済対策を打ち出そうとしているといった要因だ。

一方、昨年の米大統領選や今年1月5日のジョージア州上院議員決選投票といった相場を大きく動かす可能性を秘めたイベントはもはや過去の話となった。パーブス氏は「カレンダー上に(重大)イベントはそう多くない。大きなボラティリティーのきっかけがあるならぜひ教えてほしい」と述べた。

サスケハナ・ファイナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリストファー・マーフィー氏は、最近は上下極端な水準に行使価格が設定された株式オプションの売り意欲も増大していると指摘した。これも市場が平穏を保つとみなす投資戦略だ。

マーフィー氏は、株式と株式オプションの出来高について5月31日のメモリアルデーを前に細ってきており、主要指数は狭いレンジで取引され、夏場のボラティリティー売りの流れが目立っていると説明した。

確かにボラティリティー低下に賭ける取引は危険も伴う。18年2月の株価急落時には幾つかのボラティリティーショート商品が打撃を受け、特にベロシティーシェアーズ・デーリー・インバースVIX短期ETNは20億ドル近い損失を計上した。

ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ドイツ銀など有力金融機関の多くは、米国の成長率がピークを迎えるとともに株式市場はより不安定化する可能性があると警告している。

投資調査会社フィノム・グループのチーフ市場ストラテジスト、セス・ゴールデン氏は、プロシェアーズ・ウルトラVIX短期先物ETFに対して昨年から構築していた売り持ちポジションを最近縮小した。FRBが8月にカンザスシティー地区連銀開催の恒例のシンポジウムで、タカ派的なメッセージを発信するかもしれないとみているからだ。ゴールデン氏は、その時になってからがボラティリティーをショートにする好機だと思うと付け加えた。

(Saqib Iqbal Ahmed記者)

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