December 5, 2018 / 5:41 AM / 10 days ago

コラム:米イールドカーブが示す投資家心理の「大転換」

[ロンドン 4日 ロイター] - 米国債イールドカーブの急速なフラット化は景気後退(リセッション)の到来を警告しているが、それと同時に投資家心理の大幅な転換を映し出しているのが、米中貿易戦争の「一時休戦」を受けた債券、株式市場の動きだ。

週末に米国が中国への追加関税を90日間猶予することで両国が合意すると、世界の株式市場は週明け3日、安堵感から上昇した。一方で、米国債の2年物と10年物の利回り格差は2007年以来の最低水準に縮まり、長短金利が逆転する「逆イールド」に迫っている。

投資家の関心は貿易戦争を巡る戦術よりも、長期に及ぶ景気拡大が終わるリスクに集中し、株価も再び下落に転じた。

楽観論が消えるスピードの速さは、投資家の行動が「押し目は買い」から「上がれば売り」へと根本的に変わったことを示す極めて明確なサインだ。日々の動きより、大きな構図が注目されるようになった。

今年は米国の利上げ、ドル高、貿易摩擦といった逆風にもかかわらず、最近まで投資家のリスク志向が衰えなかった。

こうした状況を市場は、景気は十分強いから金利上昇に耐えられる、イールドカーブのフラット化や逆イールド化の可能性は先行指標としての力を失った、今回は今までと違う──と解釈。そして米国株は上昇を続けた。

しかし今、過去最長に近い米景気拡大が終わりを告げつつあること、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが行き過ぎであること、そして来年の投資収益見通しが暗くなったことが、間違いなく意識されるようになった。

JPモルガン・アセット・マネジメントによると、過去10年間で初めて、ボラティリティ調整後のキャッシュのリターンが米国株を上回っている。「利益の伸びが鈍り、マクロ経済面のリスクが高まる環境」が訪れそうだという。

予想外に強い経済指標や、通商面での好材料に反応した株価上昇の持続期間が、日増しに短くなっている。

モルガン・スタンレーによると、今年は2000年代初頭以来で初めて「押し目買い」戦略が失敗している。

<景気後退は2020年か>

米国株とMSCI世界株価指数は10月の下落分を半分取り戻したが、上昇基調は早くも息切れしている。米中一時休戦の効果は24時間ももたなかった。

一方、石油価格は10月初めから30%以上下落し、FRB高官らは利上げ余地が小さいと示唆し始め、短期金融市場は来年の利上げを25bp程度しか織り込まなくなった。

市場ストラテジストの間では今、米国株のリターンは1桁台後半になるとの見方がコンセンサスだ。欧州に比べればまだましだが、今年の25─30%から大幅に下がっている。

モルガン・スタンレーは4日公表した来年の見通しに「2019年は50%以上の確率で小幅な企業利益リセッションに陥るだろう。ただFRBが6月までに利上げを休止することで、一部が相殺されそうだ」と記した。

米経済が来年リセッションに入ると予想する者はほとんどいないが、2020年に入る確率は20─35%だ。過去50年以上にわたり、リセッションの前には必ず米国債の2年物と10年物のイールドカーブが逆イールド化している。

今回逆イールドが起こるか、そしてその後にリセッションが続くかどうかはまだ分からない。しかし3年物と5年物の間など、カーブの一部は既に逆転している。

11月4日、米中貿易戦争の「一時休戦」を受けた楽観論が消えるスピードの速さは、投資家の行動が「押し目は買い」から「上がれば売り」へと根本的に変わったことを示す極めて明確なサインだ。ニューヨーク証券取引所で3日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

警戒信号は発せられており、投資家は姿勢を正しつつある。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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