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焦点:PC機内持ち込み禁止、爆発犯との「いたちごっこ」か
March 26, 2017 / 3:38 AM / 9 months ago

焦点:PC機内持ち込み禁止、爆発犯との「いたちごっこ」か

Tim Hepher and Alexander Cornwell

 3月23日、一部の国際線において携帯電話より大きい電子機器の機内持ち込みが禁止されたことで、過激派組織と治安当局が繰り広げているきわめて重要で技術的な闘いが浮き彫りになった。写真はサラエボの国際空港のX線検査器のスクリーンに映ったラップトップPC。2014年2月撮影(2017年 ロイター/Dado Ruvic)

[パリ/ドバイ 23日 ロイター] - 一部の国際線において携帯電話より大きい電子機器の機内持ち込みが禁止されたことで、過激派組織と治安当局が繰り広げているきわめて重要で技術的な闘いが浮き彫りになった。

2011年9月の米同時多発攻撃以降、こうした闘いは顕著となっており、航空機による移動はすでに甚大な影響を受けている。

トランプ米政権は21日、中東・北アフリカ8カ国から米国に向かうフライトについて、タブレット端末やラップトップ型パソコン(PC)、カメラなどの機内持ち込みを禁止した。

治安専門家によれば、これは米政府が、機体に破壊的なダメージを与え得る物質を、通常は偽装バッテリーなどによりラップトップに隠すことが可能だと考えていることを示している。

薄型化が進む最近のスマートフォンでは、大型航空機を墜落させるほどの爆発物を内部に隠すことが難しくなっていると大半の専門家は考えている。ただ、別の場所に設置した装置を起爆するために使用することは可能だという。

受託手荷物用のコンテナをより頑丈にする研究が進められているとはいえ、ラップトップに隠された強力な爆発装置が、今回の禁止措置により客室内でなく貨物室に収容されることで、必ずしも安全性が担保されるわけではない。

とはいえ、受託手荷物であれば、より厳格な条件下での検査を行うことができる。それには米国や多くの外国空港で行なわれている爆発物チェックや、今日でも大半の爆弾を探知するためには効果的な方法とされる爆発物探知犬の活用などが含まれる。

機内持ち込み手荷物のスキャンに広く用いられている通常のX線機器では、バッテリーと同程度の密度に偽装した爆発物を検知することは難しい。そこで、手や荷物を拭った布片を調べるなど、無作為もしくは必要に応じた検査で補うことになるが、それは全乗客が対象になるわけではない。

爆発物が受託手荷物に隠されて積み込まれた場合、それが客室内にある場合よりも、手動で起爆させることが難しくなるという、かすかな望みはある。また、貨物積込み担当者が協力しない限り、機体に接した脆弱な場所にそれを置くことは難しいだろう。

昨年モガディシオ空港を離陸したソマリア航空のエアバス機を、窓際に置いたラップトップ型爆弾を使って墜落させようとする事件が発生したが、自爆犯とみられる容疑者の身体は機外に放り出されたが、機体の墜落には至らなかった。

とはいえ、手動操作による爆破を防ぐことで一部の過激派グループを抑止できるとしても、アルカイダや系列のイスラム系過激派組織が完成したとみられる高度な起爆手法を防ぐことはできないだろう。

荷物検査業務を見直す空港が増えていくなかで、こうした問題について他国に先駆けて行動することの多い米国が、いずれ保安規制を改正するのではないかと一部で予想されている。

「米国は通常、国際的な合意を待つことなく、リスクを根絶する戦略をとる」と西側の保安関係者は語る。ただ、この関係者も、もし機内に積み込まれた装置を遠隔操作で起爆することが可能であれば、保安規則の改正は「意味がない」と認めている。

<液体持ち込みの禁止>

  3月23日、一部の国際線において携帯電話より大きい電子機器の機内持ち込みが禁止されたことで、過激派組織と治安当局が繰り広げているきわめて重要で技術的な闘いが浮き彫りになった。写真は2010年、独ミュンヘンの国際空港でお保安検査を受ける乗客たち(2017年 ロイター/Michaela Rehle)

機内持ち込み手荷物が、その大きさを基準として制限されるのは、今回が最初ではない。

2006年以降、保安エリア外で購入した液体の持ち込みは、100ミリリットルのボトルまでに制限されている。ソフトドリンクに偽装した爆発物を使って米国行きのフライトを爆破しようとする試みを英国が未然に防いだことによるものだ。

保安専門家によれば、あらゆる有害機器の航空機への積込みを防ぐためにあらゆる努力をすることが戦略ではあるが、代替策として危険な物質の客室内への持ち込みを防ぐことにより、潜在的なリスクを抑えることができるという。

英ロンドンの国会議事堂付近で22日発生した自動車とナイフによる襲撃事件では、こうした原始的武器の地上における有効性が確認された。一方、空の安全を守るための、より高度化した闘いにおいては、ラップトップがその中心となっている。過激派グループが最新検査技術を潜り抜けて利用できる爆発物の開発を試みているからだ。

しかし、こうした闘いの条件はたえず変化している。

2014年にアルカイダが「隠された」爆弾の作り方を公開して以降、ラップトップのバッテリーが本物だと証明するため、搭乗前に電源を入れるよう求められるようになった。これに対抗して、爆弾作成側は追加バッテリーによって検査をパスできるよう実験を進めた。

一方、機内爆破よりも、ブリュッセルやイスタンブールで見られたように、誰でも立入可能な空港エリアでの攻撃の方が、依然として「はるかに可能性が高い」と英コンサルタント会社コントロール・リスクスでディレクターを務めるジョナサン・ウッド氏は指摘する。

セキュリティ措置の変更をめぐる頭痛の種は、これだけに留まらない。

保安上のリスクがあると従来認識されていたのはラップトップのバッテリー部品とDVDドライブだが、最近になって、規制当局は、本物のリチウムイオンバッテリーによる発火の危険性とのバランスも検討せざるを得なくなった。

貨物室にコンピューターを収容する場合、大半の梱包が不十分なため、新たな安全上のリスクが生じる可能性があると一部の専門家は指摘する。国連機関からも22日、これを懸念する声が上がった。

1つの問題として指摘されるのが、航空業界には安全性基準に関して世界的な合意形成のための十分に実績ある仕組みが存在するが、保安とテロ対策に関しては、秘密裡に協議される傾向がある点だ。

2011年、米政府は国内航空会社の大半の航空機について、トイレ内の非常用酸素供給システムを停止するよう密かに命じた。このシステムが、爆弾の材料にも利用可能なカリウムを含む化学物質に依存していたためだ。

だがこの命令によって、航空各社は一時的に米国の保安令に違反することになった。米国内でのフライト中に減圧状況が発生した場合、トイレ利用中の乗客が低酸素症に陥るリスクが生じるからだ。着席中であれば、違うシステムから供給される酸素マスクが利用できる。

米連邦航空局は、安全は保安より優先すべきとの苦情を却下したが、その後、不正利用が防止されていることを条件に、トイレ内の酸素供給システムに関する勧告を緩和している。

(翻訳:エァクレーレン)

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