[29日 ロイター] - 米財務省は29日、来年1月1日から消費者がリース契約した電気自動車(EV)も最大7500ドルの商用EV向け税額控除の適用対象にする方針を明らかにした。北米以外で組み立てられたEVも控除が受けられるようになる。
8月に成立したインフレ抑制法に盛り込まれたEV促進策は、北米以外で組み立てられたEVの購入は税額控除が適用されない形となり、欧州連合(EU)や日本などのメーカーから不満が噴出。韓国などの一部外国自動車メーカーは、商用EVの税額控除拡充を要望し、この控除を活用すればリース価格を引き下げられると主張していた。
ただ、リースとは異なり、EV購入についてはなお、北米での最終組み立てが税額控除の必須条件となる。
EUの欧州委員会はリース車両に関する米財務省の新たな指針を歓迎。「EUのメーカーの従来あるいは将来的なビジネスモデルの変更」を必要としないもので、双方に利点があると称賛した。
ただ、EV購入に関してもEUの自動車メーカーを差別しない扱いを引き続き求めるとした。
自動車業界団体の米国自動車イノベーション協会(AAI)のジョン・ボゼラ代表は「米国でのEV普及にとって前向きな展開」と評した。
新たなEV促進策によって、従来の税控除がメーカーごとに定めていた20万台の台数上限は撤廃される。
内国歳入庁は2023年に税額控除の適用対象となるEVのリストを公表。テスラ、フォルクスワーゲン(VW)、フォード・モーター、日産自動車 など13社のEVが入った。
商用EV向け税額控除の半額分は、バッテリー材料の重要鉱物の4割以上を米国か自由貿易協定(FTA)締結国から調達するか、北米でリサイクルされていることが条件となっている。
財務省は「FTA締結国」の定義に関して、現在オーストラリア、バーレーン、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、イスラエル、ヨルダン、韓国、メキシコ、モロッコ、ニカラグア、オマーン、パナマ、ペルー、シンガポールの各国と米国の間に存在する包括的な貿易協定が含まれると述べた。
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