August 2, 2019 / 8:36 AM / in 20 days

ブログ:トランプ氏の「口撃」にも折れぬボルチモアの心意気

[ボルチモア 1日 ロイター] - ドナルド・トランプ米大統領は先週、ツイッターへの投稿で、メリーランド州最大の都市ボルチモアについて、「ネズミがはびこる、吐き気がするような場所」、「非常に危険で不潔な場所」と酷評した。

8月1日、ドナルド・トランプ米大統領は先週、ツイッターへの投稿で、メリーランド州最大の都市ボルチモアについて、「ネズミがはびこる、吐き気がするような場所」、「非常に危険で不潔な場所」と酷評した。写真は5月、ボルチモアの街中で自転車にのる若者ら(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

そのボルチモアに住むブロンディナ・ビーンさんは、一連のツイートについて複雑な思いを抱えている。

息子の死に涙するビーンさん(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

ビーンさんは昨年、当時19才だった息子を市内で発生した強盗未遂事件で殺された。気持ちがまとまらないのは、黒人が多数を占める同市の犯罪率の高さについてはトランプ氏は正しいが、「人種差別的な表現」を用いたことは間違っていると感じるからだ。

「残念ながら、大統領が言うことには同意する。私たちはとにかく緊急事態を宣言すべきだ。だが彼の表現には賛同できない。『彼からはこのメッセージを聞きたくなかった』と思った。彼は、あのキャラクターが示すとおりの人間だから」とビーンさんは言う。

(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

ボルチモア市はワシントンの北方約65キロに位置し、人口約62万5000人。美しい港と歴史的な街並み、それに加えて、都市にはつきものの問題で知られている。

ボルチモア市民の多くはトランプ氏の言葉遣いを厳しく批判しているが(彼は「あの街には住みたがる人間などいない」とも投稿した)、黒人住民の中には、市内の犯罪問題だけでなく、市の政治指導者らが十分な対応を取ってこなかったことも認める人もいる。

近年、ボルチモアが米国内で不名誉な注目を浴びるのは、これが初めてではない。

(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

市政をめぐる汚職疑惑により、2人の市長が辞任した。2015年には、フレディー・グレイという名の黒人青年が警察に拘束された際に死亡したことを契機に、一部で暴力を伴う抗議行動が数日にわたり続いた。

ボルチモア市民の多くにとって、今回のトランプ氏の発言は、こうした事件によって悪化した同市のイメージに、さらなる打撃を与えた。市内の生活環境改善に取り組む地域活動家は、動揺する一方で、やる気を奮い立たせてもいる。

自宅近くでくつろぐタウンズさん(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

西ボルチモアの不遇な環境で育った18才の起業家フランシナ・タウンズさんは、トランプ氏の発言に憤慨している。

遅々として進まないボルチモアの暴力や麻薬、貧困に対する戦いついては、タウンズさんも幻想を抱いているわけではない。だが彼女は、共和党のトランプ大統領によるツイッター投稿のトーンに不快感を抱いていた。ボルチモアから長年選出されているアフリカ系のイライジャ・カミングス下院議員(民主)に対するトランプ氏の攻撃は、市民を結束させた、と彼女は言う。

高校の卒業式の衣装を身に着けたタウンズさん(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

「ボルチモアについて1つ言えることは、自分の街については私たちがいろいろ言うことはあっても、外部の誰かがやって来て何かやろうとすれば、私たちは団結するということ」と、タウンズさんは話した。

下院の監視・政府改革委員長を務めるカミングス氏は、トランプ氏及びその政権に関する調査を主導しており、トランプ氏の強圧的な移民政策を批判してきた。

美容師のバイトをするタウンズさん(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

タウンズさんは、これまで他の若者が妊娠したり刑務所に入ったりするのを目にしながら育ってきて、自分は別の道を歩もうと決意した、と話す。2年前、彼女は高品質のつけまつげサロンを自宅で開業し、常連客を着実に増やしてきた。現在では美容室内のスペースを借り、いずれは独立した店を構えたいと願っている。

(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

前出のビーンさんは、息子を失って以来、問題を抱えた若者をスポーツや治療、就職面接などに誘導することを目的とした非営利団体を立ち上げた。麻薬や暴力への道を歩んでしまう者もいる問題を抱えたボルチモアには、この他にも障害を乗り越えようとする黒人の若者を支援するプロジェクトがある。すでに何年もの実績を持つプログラムもある。

生徒と話しをするアベント氏(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

エドウィン・アベント氏は1991年、アフリカ系米国人支援を目的とする「ブラック・プロフェッショナル・メン」(BPM)を共同で設立した。金融リテラシーから関係構築に至るまで、さまざまなテーマの講習を提供している。またアベント氏は、公立のチャータースクールであるボルチモア・カレジエイト・スクール・フォー・ボーイズの理事長も務めている。

BPMは若者をギャングや麻薬、銃器から遠ざけるために教育と「正の強化」を活用し、3000人の少年を指導し、大学生向けの奨学金を225件提供している。

「私たちがやっていることは、黒人の少年たちを、次世代の医師や弁護士、科学者、リーダーへと育てていくことだ」とアベント氏は言う。

「次のバラク・オバマは彼らのなかから出るかもしれない」

(2019年 ロイター/Stephanie Keith)

(写真と文:Stephanie Keith記者、翻訳:エァクレーレン)

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