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コラム:Wファーゴの「弱点」あぶり出した米大手2行
2016年10月17日 / 07:21 / 1年後

コラム:Wファーゴの「弱点」あぶり出した米大手2行

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - JPモルガン(JPM.N)とシティグループ(C.N)によって、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N)が抱えるより幅広い問題があぶり出された。

 10月14日、JPモルガンとシティグループによって、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)が抱えるより幅広い問題があぶり出された。写真は、NY市のWファーゴ前で抗議する人たち。6日撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

JPモルガンとシティは、市場部門や投資銀行部門が堅調でアナリスト予想を上回る業績を達成できたが、リテール部門を見れば青息吐息で、この事業を柱とするWファーゴの苦境がうかがえる。Wファーゴの新最高経営責任者(CEO)に就任したティム・スローン氏は、不正営業問題のみならず、今後はリターン低下という試練にさらされるだろう。

不正営業問題はWファーゴのトップ交代につながった。ただ業績面ではまだ明確な影響は出てきていない。顧客への補償向けに計上されたのは500万ドルだけで、1億8500万ドルの制裁金も誤差の範囲内に入る金額だ。第3・四半期利益は前年比で2.6%減少したとはいえ、56億ドルを計上した。

もっとも事態収束には程遠い。スローン氏は14日、投資家に対して9月にクレジットカード申請が前年比20%、新規銀行口座開設が25%減ったと説明した。

この問題が起きる前から既にWファーゴは逆風にさらされていた。5月には株主に向けて、低金利や融資競争激化、資本積み増しの必要性、貸倒損失の増大といった業界全体のトレンドに業績が圧迫されていると伝えている。

Wファーゴは株主資本利益率(ROE)の目標を11─14%に引き下げた。第3・四半期のROEは11.6%と業界最高になったものの、5期連続の低下を記録した。

参考までにJPモルガンの第3・四半期ROEは10%と資本コストをどうにかカバーできる水準にとどまり、リテール部門の純利益は費用と貸倒引当金の増加のために落ち込んだ。

一方でJPモルガンの第3・四半期の投資銀行部門とトレーディング部門の業績は過去最高に達した。合併の助言や新規発行証券の販売から得た収入は15%増加し、債券・通貨トレーディングは48%の増収だった。シティの投資銀行部門も堅調で、債券トレーディングの貢献によって20%の増益になった。

つまりJPモルガンとシティは、投資銀行部門と市場部門が他の事業の低迷をある程度穴埋めしたと言える。ところがWファーゴには、そうしたバッファーは存在しない。Wファーゴのホールセール部門の顧客は、約6割が過去1年間に同行の投資銀行関連商品を利用していない実態が判明している。スローン氏にとっては、こうしたクロスセリング(商品の追加販売)の大きな機会が魅力的に映り始めているかもしれない。

●背景となるニュース

*シティグループとJPモルガン、Wファーゴが14日発表した第3・四半期業績はいずれもアナリスト予想を上回った。

*シティの第3・四半期利益は38億ドル、収入は178億ドル。1株当たり利益は1.24ドルでアナリスト予想の1.16ドルを超えた。収入は前年比5%減。不良資産受け皿銀行のシティ・ホールディングスの48%の減収が響いた。ROEは6.8%、有形自己資本利益率は7.8%。

*JPモルガンは利益が63億ドル、収入が247億ドル。1株利益は1.58ドルでアナリスト予想は1.39ドルだった。純利益は前年比8%減。当時は税制面のプラス効果が22億ドルもあった。収入は前年比8%増加した。ROEと有形自己資本利益率はそれぞれ10%と13%。

*Wファーゴは利益が56億ドル、収入が223億ドル。1株当たり利益は1.03ドル、アナリスト予想は1.01ドル。収入は前年比2%増加した。ROEと有形自己資本利益率は11.6%と14%弱だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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