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コラム

コラム:創業者の株式支配なきアマゾンに一抹の不安、ベゾス氏退任

[ニューヨーク 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏は、一代でゼロから巨大IT企業を生み出したという面で、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏や、アルファベット傘下のグーグルのラリー・ページ氏、セルゲイ・ブリン氏ら他のシリコンバレー起業家とよく似ている。

 2月3日、アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏は、一代でゼロから巨大IT企業を生み出したという面で、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏らシリコンバレー起業家とよく似ているが、1つ違いがある。特別議決権株(種類株)や大量の株式保有を通じて経営を支配する権限を確立していないのだ。2019年2月、ニューヨークのアマゾン書籍店で撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

しかしベゾス氏には彼らと一点、違いがある。創業者として特別議決権株(種類株)や大量の株式保有を通じて経営を支配する権限を確立していないのだ。こうした事情は、ベゾス氏が最高経営責任者(CEO)を退任すると決めたことに微妙な色合いを与える。

ベゾス氏は2日、現在クラウドサービスの「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を統括しているアンディ・ジャシー氏を次期CEOに指名しつつ、自身は執行会長に就く意向を示した。アマゾン側の説明では、買収や経営戦略の軌道修正といった節目ではかじ取り役になるが、日々の細かい事務にはあまり関与しなくなる。そこでベゾス氏は、私財を振り向けている宇宙開発企業ブルー・オリジンや各種慈善活動など、これまでと違う分野に力を注げる。

アマゾンが普通のハイテク会社の企業統治構造であれば、ベゾス氏はどんな肩書や職務であろうが経営を支配できる。ザッカーバーグ氏をはじめとする他の創業者は通常、過半数株を持っているか否かとは別に、種類株を押さえている。つまり、これを通じて会社の重大事項について最後の決定を下す力を備えている。ところがベゾス氏にはそれが当てはまらない。同氏が持っているのは普通株だけで、その比率もおよそ14%だ。だから同氏がアマゾンを離れた場合、行使できる影響力は、少なくとも理論的にはかなり小さくなる。

そう考えるとベゾス氏は、ザッカーバーグ氏よりもマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏に近い。ゲイツ氏は2000年にマイクロソフトのCEOを退任し、当初は会長兼チーフソフトウエアアーキテクト(CSA)に就任(14年からはただの取締役になり、昨年退任)。CEO職は当時、長年の子分だったスティーブ・バルマー氏に託した。この引き継ぎは順風満帆とはいかず、例えばバルマー氏が72億ドル(約7500億円)を投じたフィンランド通信機器大手ノキア買収は失敗に終わったばかりか、同氏がCEOを務めた14年の株主向け総リターンはほぼ横ばいにとどまった。CEOが同氏からサティヤ・ナデラ氏に代わった後、年率のリターンは32%に跳ね上がっている。

ただベゾス氏が大型の合併・買収(M&A)に関して手綱を握り続けると決めたことは、アマゾンがマイクロソフトと異なり、創業者が強くは支持しない戦略転換へと道を踏み外すことはないという意味で、心強い材料だろう。アマゾンを現在の「大帝国」に発展させた人物となお株式保有で接点を持っていたいと考える投資家にとっても、一安心だ。一方、昨年ついにマイクロソフトの取締役を退いたゲイツ氏のケースに鑑みて、一抹の不安もある。ベゾス氏がひとたびアマゾンを完全に退任してしまえば、文字通り、彼の影響力はなくなってしまうのだ。少なくともこれは将来の心配事の1つかもしれない。

●背景となるニュース

*アマゾン・ドット・コムは2日、創業者ジェフ・ベゾス氏が第3・四半期中に最高経営責任者(CEO)を退任して執行会長となり、CEOの職務をアンディ・ジャシー氏に委ねると発表した。ジャシー氏は現在、クラウド事業「AWS」を統括している。

*ベゾス氏のCEO在任は27年にわたった。リフィニティブによると同氏はアマゾン株の約14%を保有している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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