[ワシントン 31日 ロイター] - バイデン米政権は、国内の深刻な住宅不足に対応するため、既存予算や権限を使い、今後3年間で10万戸の手頃な価格の住宅を建設・販売する計画。ホワイトハウス当局者が明らかにした。
個人や非営利団体向けの住宅販売を後押しする一方、大口投資家への販売を制限するという。第2・四半期に販売された住宅物件は、6件中1件がこうした投資家が購入している。マーシャ・ファッジ住宅都市開発長官は9月1日、フィラデルフィア州にある手頃な価格の住宅を視察する予定で、その際にこの計画を発表する。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期には在宅勤務などが進み、自宅で過ごす時間が増えたことから、より広いスペースを確保するため、住宅需要は急増した。
ただ、物件不足とサプライチェーン(供給網)のボトルネックにより、住宅価格は急騰している。
パンデミック発生前から、賃貸世帯の約4分の1に当たる1100万世帯が収入の半分以上を家賃に充てていたことを踏まえると、住宅価格に追随する賃貸価格動向も懸念材料となっている。
ホワイトハウス当局者によると、米国では推計400万戸もの手頃な価格の住宅が不足している。
バイデン米大統領は、議会で審議されている3.5兆ドル規模の投資計画の一環として3000億ドル以上を投じて200万戸の手頃な価格の住宅を増やすことを提案しているが、すぐに実行可能な措置を進めたい考えという。
住宅供給は農村部と都市部の両方で行う計画で、住宅所有率が歴史的に低めの有色人種コミュニティーの支援に重きを置く。
ホワイトハウスによると、住宅都市開発省と財務省、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)などの機関が詳細計画を策定中で、両住宅公社はより多くの米国人に住宅購入機会を提供するため融資を強化する見通し。
一方、連邦住宅局(FHA)が住宅ローンの債務保証をする物件の一部は、大口投資家への販売が制限される見通し。
バイデン氏は「政府が活用できるあらゆる手段を使い、より多くの手頃な価格の住宅を出来るだけ迅速に供給することに取り組んでいる」との立場であるとホワイトハウス当局者は述べている。
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