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中国の米国債売却、対米戦略で切り札とならず=アナリスト

[ニューヨーク 1日 ロイター] - 通商や人権問題などで米中間の対立が激化し、地政学的な緊張が高まっているものの、アナリストや投資家は、中国が近い将来米国債の購入を大幅に削減する可能性は低いと指摘する。

4月1日、通商や人権問題などで米中間の対立が激化し、地政学的な緊張が高まっているものの、アナリストや投資家は、中国が近い将来米国債の購入を大幅に削減する可能性は低いと指摘する。写真は米ドルと中国元の紙幣。2020年2月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

BCAリサーチの地政学分野のストラテジスト、マット・ガートケン氏は「緊張が高まっているにもかかわらず、中国による急速な売却はみられない」と述べ、米国債の売却は、対米関係において中国が自身を傷付けることなく使える武器ではないとの見方を示した。

仮に香港や台湾などを巡る問題が深刻化すれば、中国は「米国債をシグナルとして使うかもしれない」と指摘。ただ、そうなれば、世界の安定に対する懸念が高まり、他国が米国債購入に動く可能性があり、その結果、安全資産としての米国債需要は高まり、影響が抑えられると説明した。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ミン・ダイ氏は最近のリポートで、中国の外貨準備は人民元高を受けてここ数カ月増加しており、それに伴い米国債への投資も拡大していると指摘した。

中国が米国債投資を縮小することが難しいもう1つの理由は、米国債ほど流動性が高くリスクが低い市場が他にほとんどないことだ。

中国が米国債を売却すれば米国債利回りは上昇し、その結果、投資先としての米国債の魅力は相対的に高まる。

ブランディワイン・グローバルの債券ポートフォリオ・マネジャー、ブライアン・クロス氏は「金利上昇に伴い、海外の投資家などにとって米国債は魅力的になり、中国の売却後にその穴を埋めるため市場に参入する可能性がある」と説明した。

さらに、米国の経済成長に影響を及ぼすほど米国債利回りが上昇すれば、米連邦準備理事会(FRB)が介入に動くことも予想される。

ガートケン氏は、いずれにしても米国債売却は「中国が簡単に使える武器ではない」と述べ、「中国は米国債の約5%を保有しているに過ぎず、針を動かすことはできてもそれ以上のことはできない」と指摘した。

米財務省が15日発表した1月の対米証券投資統計によると、中国の米国債保有は1兆0950億ドルと、前月の1兆0720億ドルから増加した。ただ、ピーク時2013年の水準(1兆3200億ドル)は下回っている。海外勢では日本の保有残高が1兆2800億ドルと最も多かった。

FRBの保有残高は先週時点で4兆9200億ドルだった。

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