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焦点:米イールドカーブ、1%割れは時間の問題か

[ボストン/シカゴ 3日 ロイター] - 米国債利回りの低下が続く中、イールドカーブ全体が1%を下回る可能性が出てきた。

 8月4日、米国債利回りの低下が続く中、イールドカーブ全体が1%を下回る可能性が出てきた。写真は5月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

米国では新型コロナウイルスの感染が拡大。連邦準備理事会(FRB)の利上げは遠い先になるとみられている。

アルファ・エコノミック・フォーサイツのチーフエコノミスト、ブライアン・ベテューヌ氏は「FRBは政策金利を無期限にゼロ付近に維持する、と誰もが予想している。このため、30年債利回りは信じがたいほど低い水準になっている」と述べた。

米30年債利回りUS30YT=RRは3日時点で1.25%付近。

トレードウェブは先週、30年債利回りの低下で、イールドカーブ全体が1%を下回る状況が近づいていると指摘した。

ジャナス・ヘンダーソンのグローバル債券共同ヘッド、ニック・マロウトソス氏は「利回りの低下圧力は当面続くだろう。(米国外の債券利回りの水準を踏まえれば)イールドカーブ全体が1%を下回るのは時間の問題だ」と指摘。

「利回りが付くものであれば、どれほど低くても追い求めるという投資家の姿勢の表れだ」と述べた。

米10年債利回りUS10YT=RRが直近で最後に1%を上回ったのは3月20日。先週は終値ベースで史上最低付近に落ち込んだ。20年債利回りは、先月30日に1%を割り込んだ。

トレードウェブはリポートで「(第2・四半期の)米経済が過去最悪のマイナス成長となったことが背景だ」と指摘する。

一部のアナリストは、FRBが今後の国債買い入れで、長期ゾーンの比重を高める可能性があると予想。そうなれば利回りに追加の下落圧力がかかり得る、とトレードウェブは指摘している。

TDセキュリティーズの米金利担当シニアストラテジスト、ゲンナジー・ゴールドバーグ氏は、イールドカーブ全体が1%を下回れば「時代を象徴」する出来事になると予想。「中央銀行がマネーの蛇口を開けて、利回りに低下圧力をかけている」とした上で、これは景気回復に寄与するだろうとの見方を示した。

ただ、同氏によると、現在予想されている追加の景気対策と、米財務省が5日に発表する四半期定例入札(クォータリー・リファンディング)条件が、利回りの下落圧力を和らげる要因になることも考えられる。

前回5月公表の四半期定例入札条件では、20年債を新たに発行することが発表された。

ナットウエスト・マーケッツは7月29日のリポートで、財務省が今回も30年債を積極的に発行するかどうかが、1つの問題だと指摘している。

30年債利回りは過去最低水準には接近していないものの、直近では7月6日に1.48%でピークを付けて以降、着実に低下している。

30年債利回りが1%を下回ったのは、米国で新型コロナ危機が明確になった3月9日のみ。この時はイールドカーブ全体が一時的に1%を下回った。

イールドカーブの長期ゾーンはインフレリスクに敏感に反応する。現在のインフレ率はFRBが目標とする2%を大幅に下回っており、パウエルFRB議長は先月29日、「これは基本的にディスインフレ・ショックだと考えている」と発言した。

インフレ調整後の実質利回りも記録的な低水準となっている。10年物のインフレ連動国債(TIPS)利回りUS10YTIP=RRは現在、1%を超えるマイナス。

イールドカーブ全体が1%を下回れば、過去数年の低利回り環境で定着した傾向の多くが一段と強まる可能性が高い。

低利回りは銀行の収益悪化につながる傾向がある。高利回りを求める投資家にとってはドルの魅力が低下する。また、相対的に株式の魅力が高まるほか、企業の資金調達コストも低下する。

バンク・オブ・アメリカのアナリストは最近のリポートで、実質利回りの低下は「超金融緩和への期待とマクロ情勢の悪化」を反映していると分析。TIPSへの資金流入については、一部の投資家がスタグフレーションのリスクを意識している可能性があるとの見方を示した。

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