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コラム:トランプ大統領が見つけた「有意義な貿易戦争」
2017年4月26日 / 01:41 / 7ヶ月後

コラム:トランプ大統領が見つけた「有意義な貿易戦争」

[ワシントン 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米商務省はカナダ産針葉樹材の輸入に平均20%の相殺関税を適用する。米国はかねてからカナダが実質的な補助金を供与していると不満を訴えており、こうした措置を講じる根拠は十分にある。トランプ大統領としても実際に意義のある貿易戦争を見つけた心境だろう。

 4月25日、米商務省はカナダ産針葉樹材の輸入に平均20%の相殺関税を適用する。写真右はトランプ米大統領。ワシントンで2月撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

米国の歴代政権は、カナダ政府が国内業者に公有林の伐採を認めていると批判してきた。つまりカナダ産針葉樹材は米国の業者より割安なコストで生産され、より低い販売価格を設定できる。このため米国は2002年から輸入関税を導入。06年に両国間で輸出数量や関税についての協定が締結されるといったん紛争が落ち着いたが、協定は15年に失効し、オバマ前政権の下で新たな合意は成立しなかった。

ロス商務長官が24日に表明した新たな相殺関税は年間で約10億ドル規模となる見通し。昨年、米国は針葉樹材を含む木材製品の分野でカナダに対して50億ドルの貿易赤字を計上した。

カナダ政府はこの問題を世界貿易機関(WTO)に提訴する方針だが、解決までには何年もかかる可能性がある。となれば年内に始まる見込みの北米自由協定(NAFTA)見直し交渉が最も現実的な事態打開の手段になる。

カナダのトルドー首相が2月に訪米した際に、トランプ氏はNAFTAはほんの少しの「修正」しか必要ないと発言したため、交渉は容易だとの期待がカナダ側には広がっていた。ところがそれ以降、カナダの貿易障壁が非難の矢面に立たされている。乳製品に対して最大270%の関税をかけていることもその1つで、トランプ氏はツイッターに「これは断じて我慢ならない」と投稿した。

カナダにとって対米通商問題が持つ意味は非常に大きい。輸出の4分の3が米国向けで、昨年の総額は2780億ドル前後に上るからだ。オンタリオ州の域内総生産(GDP)の約50%、アルバータ州とケベック州のGDPの31%と23%は米国との貿易に依存している。こうした事情は、トランプ氏が交渉を有利に持ち込む要素になる。

ただしカナダの製材業者や酪農業者はブリティッシュコロンビア州やケベック州などにおいて強い政治力を持つ。過去の貿易紛争時には、競争拡大につながる提案に対して猛烈な抗議を行った。さらに世論調査で自由党政権の支持率は野党・保守党を下回っており、トルドー首相としては通商問題で米国の言いなりになっているとの印象を国民に与えることは絶対にできない。だからトランプ氏も、交渉で強硬すぎる姿勢を取らないよう注意すべきだろう。

●背景となるニュース

*ロス米商務長官は24日、カナダ産針葉樹材の輸入に平均20%の相殺関税を課すと表明。カナダの業者が公有林の伐採を許可され、実質的に政府補助を受けて低価格での販売が可能になっていると批判した。

*関税の総額は年間約10億ドルに上り、過去90日の輸入分にもさかのぼって適用される。米国は昨年、カナダ産針葉樹材をおよそ60億ドル相当輸入した。最も高い税率が課せられるのはウェスト・フレーザー・ミルズ(WFT.TO)の24.1%、次がキャンフォー(CFP.TO)の20.1%。

*カナダのカー天然資源相とフリーランド外相は24日の共同声明で、米国側の批判は「事実無根で正当性がない」と主張し、相殺関税は米国内の住宅建設コスト上昇をもたらすと指摘した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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