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アングル:中国、国有5社の米上場廃止方針は監査問題巡る妥協のシグナルか

[香港 15日 ロイター] - 中国石油化工集団(シノペック)など中国国有5社が12日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)から「自主的に」上場廃止することを申請すると発表した。専門家の間からは、これは米上場中国企業の会計監査問題で中国政府が米国に対して妥協に応じる兆しではないかとの見方が出ている。

 中国石油化工集団(シノペック)など中国国有5社が12日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)から「自主的に」上場廃止することを申請すると発表した。写真はNYSEで6月14日撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

米証券取引委員会(SEC)は5月、この5社だけでなく多くの中国企業について、米国の会計基準の規則を満たしていないと警告した。

米国側はこれまでも、中国企業が上場廃止を避けたいなら、完全な監査文書提供という米政府方針を順守しなければならないと主張してきた。そうした中で監査協力の枠組みを巡る両国の協議が続いてきた経緯がある。

これに対し、一部の専門家の見立てによると、今回の国有5社の上場廃止方針は、米上場民間中国企業の監査でなら米当局に協力できるという中国側からのシグナルだという。

資本市場問題を扱う香港の弁護士の1人は「国有企業の上場を廃止することで、中国側は協議で歩み寄りがしやすくなる」と指摘した。データの重要性という面で、中国政府は民間企業の多くに比べ一部国有企業の会計の方にアクセスされるのを懸念していると説明した。

事態はそれほど楽観できないとの声も聞かれる。

北京大学光華管理学院の元教授ポール・ギリス氏は「国有企業を議論の対象から外せば、理論的には中国がある程度譲歩する余地が生じるのは確かだ。しかし米中を取り巻く現在の全般的な政治状況を踏まえれば、双方の合意は難しい」と述べた。

<鍵はデータの機密性>

米規制当局は何年も前から、米上場中国企業の監査文書への全面的なアクセスを求め続け、中国当局は国家安全保障上の理由からこれを拒んできた。

SECのある高官は今年5月、米国基準に従うには「機密性が高すぎる」とみられる幾つかの企業について中国側が自主的な米上場廃止に同意すれば、中国の残りの企業や監査法人が米国側の査察と調査を受け入れ、米国における取引禁止を避けられるとのシナリオを示していた。

ただその後、SEC管轄下にあり米上場企業の会計監査を司る米公開会社会計監督委員会(PCAOB)が、米国のルールでは企業の監査文書について遡及的にアクセスすることが同委員会に義務付けられる以上、そうした上場廃止は根本的な解決策にはならないとの見解を表明。PCAOBの広報担当者は15日、この問題でPCAOBの立場は今も変わらないと協調した。

PCAOBが監査文書に完全にアクセスできないと判定する中国企業は270社超。こうした企業に対しては米国で取引禁止措置が講じられる可能性が続く。

法律事務所ウィルソン・ソンシニの広域中華圏慣行責任者ウェイヘン・チェン氏は「米上場の中国民間企業については、PCAOBに協力する自由度がより大きいかどうかは恐らく監査文書でのデータの機密性次第になる」とみている。

チェン氏によると、大量の地理的なデータや、各個人や各企業の位置情報、移動情報、社会生活を追跡するデータを保有する企業は、より機密性が高いと認識される公算が大きい。

国有企業では、5社の上場廃止後に残る米上場企業は中国東方航空と中国南方航空のみ。

ジェフリーズのアナリストチームは「中国は機密性のない情報を持つ企業が米資本市場から絶対締め出されないようにするため、SECに協力する動機があるはずだ」と指摘した。

(Scott Murdoch記者、Kane Wu記者、Xie Yu記者)

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