[ワシントン 28日 ロイター] - 米下院は28日、中国に対する競争力向上を目指す国内半導体産業支援法案の採決を実施し、243対187の賛成多数で可決した。バイデン大統領が署名し成立する。上院でも27日に承認された。
下院の採決では、与党民主党218人に加え、共和党24人も支持に回った。
法案には国内半導体製造に対する約520億ドルの政府補助金のほか、半導体工場向け投資を促進するための推定240億ドルの税額控除が盛り込まれる。
さらに、中国との競争力を高めるために、米国の科学研究促進向けに10年間で2000億ドルを支援する。ただ、議会は財源を手当てする予算法案を別途可決する必要がある。
中国は法案阻止の働きかけを行っていた。在米中国大使館は、法案が「冷戦の考え方」を想起させるもので両国の「国民共通の願望に反する」と批判し、「断固反対」との立場を表明した。
米議会では民間部門への多額の補助金に通常反対する議員らも、中国や欧州連合(EU)が半導体産業の資金支援に動いていることや、世界的なサプライチェーン(供給網)の問題、国家安全保障上のリスクを理由に賛成に回った。
共和党で賛成票を投じたマイケル・マコール議員は採決前に「国内で半導体を生産する必要があり、海外に移管させてはならない」と記者団に述べ、「国家安全保障に極めて重要」と強調した。
ただ、前日に法人増税などを盛り込んだ別の法案に関して民主党上院の指導部と有力議員が合意に達したと発表したことを受け、共和党指導部は党議員らに半導体法案に反対するよう求めた。このため、一部議員は土壇場で支持見送りを決めた。
民主党は重要法案成立で国民に成果を印象付けることで11月の中間選挙を有利にしたい考え。
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