[25日 ロイター] - 米国務省は25日、中国が米国の石油・ガスパイプラインや鉄道システムなどの重要インフラに対してサイバー攻撃を仕掛ける能力があると警告した。
西側の情報機関と米マイクロソフト(MS)は24日、中国政府の支援を受けたハッキンググループが通信や輸送拠点といった米国の重要インフラ機関にスパイ活動を行っていると発表した。
国務省のマシュー・ミラー報道官は記者会見で「米国の情報機関は、中国がほぼ確実に、米国内の重要インフラを妨害しうるサイバー攻撃を行う能力があるとみている」と述べ、政府や民間企業に警戒を呼びかけた。
一方、中国政府は、ハッキング疑惑は機密情報を共有する米英など「ファイブアイズ」による「集団的偽情報キャンペーン」だと否定している。
米国家安全保障局(NSA)は重要なサービスの提供企業がサイバー攻撃を探知するのに役立つ技術的詳細を公表。NSAのサイバーセキュリティー担当ディレクター、ロブ・ジョイス氏は、公表後に少なくとも1カ所から新たな情報が出てきたと語った。
これとは別に、サイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)は、サイバー攻撃の対象になり得る範囲と影響の把握に取り組んでいると説明。
専門家や当局者らによると、現在問題になっているサイバー攻撃は通常より隠密性が高く、対策を難しくしているという。
CISAの幹部、エリック・ゴールドスタイン氏はロイターに対し、攻撃者がネットワークに侵入するのに正規のIDやパスワード、ネットワーク管理ツールを使うケースが多いため、アンチウイルスソフトなどの従来型の探知手段では侵入に気づけないと指摘した。
マイクロソフトは24日公表の報告書で、中国政府の支援を受けたハッキンググループを「Volt Typhoon(ボルト・タイフーン)」と呼び、将来の危機の際に米国とアジア地域間の重要な通信インフラを混乱させる可能性があると警告していた。
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