[ワシントン 15日 ロイター] - 米共和党のトム・コットン議員を中心に10人で構成される上院議員グループは15日、レモンド商務長官に対し、中国政府に悪用される可能性がある米国の技術を早急に特定するよう求めた。
ロイターが入手した書簡によると、議員グループは約3年前に制定された法律に基づき、「新興および基礎技術」を特定するよう商務省に要請。「表向きは民間企業である中国企業に米国企業が機密技術を輸出したり、そのような中国企業からの投資を受け入れることで、米国の技術が中国の軍部や諜報機関に渡ることを懸念している」とした。
書簡にはマルコ・ルビオ、ジョン・コーニン、ベン・サッセ、リック・スコット、トッド・ヤング各議員らの署名もある。
書簡は、商務省が作成した「管理された新興技術」のリストが限られていると指摘。「これらのリストが不完全で十分に活用されない限り、連邦政府は適切に機能する輸出管理制度と外国投資審査プロセスを欠くことになる」とし、これにより「米国は中国の経済的略奪に対して容認できないほど脆弱になる」と訴えた。
米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会は今月、商務省が国家安全保障を保護し、中国軍に機密技術が渡るのを防ぐ責任を果たしていないとする報告書をまとめた。
報告書は、中国に輸出する前に精査すべき機密技術のリストを作成する商務省の作業が遅れていると指摘した。
●同省はこの報告書を受け、「技術革新は常に起こり、技術に起因する国家安全保障上の懸念は時間とともに変化し得るため、悪用リスクのある技術の特定は『完了する』ものではなく、継続するものだ」と説明した。
新興技術の管理については4つの規則を発表済みで、追加の規則を検討しているとした。また「軍事エンドユーザー」の規則を拡大するとともに、米企業による輸出を制限する「エンティティーリスト」に対象企業を追加したと説明した。
18年の輸出管理改革法(ECRA)で、商務省には新興技術や基礎技術などのリスト作成が求められている。
同省は18年11月に新興技術として顔認識や音声認識など45例を挙げたが、リストの完成には至っていない。基礎技術についてはまだリスト案を示していない。
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