July 11, 2018 / 3:00 AM / 9 days ago

米国、対中追加関税を適用へ:識者はこうみる

[東京 11日 ロイター] - トランプ米政権は10日、追加で2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。市場関係者の見方は以下の通り。

 7月11日、トランプ米政権は10日、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。写真は上海からの輸入された貨物。カリフォルニア州ロングビーチで4月撮影(2018年 ロイター/Bob Riha Jr)

<みずほ証券 投資情報部長 倉持靖彦氏>

トランプ米政権が追加で2000億ドル規模の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。日経平均はこれを嫌気して、直近3営業日に上昇した分を帳消しにする動きとなっている。

中国に対する追加関税は、今のところ金額的にメインシナリオの範囲に収まっているものの、ここから米国がエスカレートさせれば話は別だ。また、米国が自動車や自動車部品などに関税対象を広げた場合、米国と中国の貿易摩擦にとどまらず、世界的な「貿易戦争」の様相を帯びてくる。

為替はやや円高に振れたとはいえ、ドル/円は111円近辺を維持。ユーロ/円も130円台で推移している。この水準を維持していれば総じて企業業績にはプラスだ。今後は貿易摩擦懸念と企業業績への期待の綱引きとなり、日本株は神経質な展開が予想される。

<メリルリンチ日本証券・チーフ金利ストラテジスト 大崎秀一氏>

米国による対中追加関税は、規模が2000億ドル相当と大きく、市場はあらためてヘッドラインリスクを認識させられた。米中貿易摩擦については、追加的な材料がなかったため、円安・株高とリスクオン方向に傾いていたが、その巻き戻しを意識せざるを得ないだろう。

今後は中国が対抗策を打ち出すかが焦点。円債は好需給要因で高値圏にあるため、上値余地が乏しい。12日の20年債入札で、新発ベースで0.5%割れの水準が受け入れられるかに注目したい。

今回の追加関税表明は、米中間選挙対策という側面を否定できない。発効されるにしても秋口だろう。米景気にとってポジティブな要因が少ないため、米国内から反感が強まれば、振り上げたこぶしを下ろす可能性もあるのではないか。

<ミョウジョウ・アセット・マネジメント CEO 菊池真氏>

日本株の場合は中国の依存度が相対的に高い。結果的に日経平均やTOPIXは下げが大きくなるとみている。FA(工場の自動化)関連など、中国向けの売り上げが伸びて業績を大幅に拡大してきた銘柄ほど、今後も売られる展開が続くだろう。日本株全体のエクスポージャーを落とすインパクトが強まれば、中国と関係のない銘柄であっても、一緒になって外される可能性が高い。直近では先物を売ってヘッジする動きもみられている。

米国の狙いは明らかに中国の勢いをそぐということだ。第1弾として340億ドル分が対象の対中追加関税が米国から出てきた。これに対し中国側は言葉通りに報復した。ここまでは予想の範囲内と市場は受け止め、週明けから日本株には買い戻しが入ったが、さらに2000億ドルという数字が出てきた。

米国からの輸入額からみて先に玉切れとなるのは中国。2000億ドルに対抗する手段はもはや中国にはない。人民元の切り下げは2015年夏に大きな痛手を受けた過去があり、中国にはいわばもろ刃の剣。人民元切り下げと資本流出規制の厳格化はある意味自己矛盾でもある。米国債の売却は外貨準備の取り崩しとほぼ同義となるため、元安誘導と比べても中国にとってはリスクが高く、武器にはできないはずだ。

中国国内で活動する米国企業に対する制裁措置の方が、中国側としてはやりやすいだろう。もっとも、米国企業が中国から逃げるのにも時間がかかる。その期間は米国企業もダメージを受けることとなる。

月内には日本企業の4─6月期業績の発表が本格化するが、貿易戦争による企業活動の影響について、経営者がどう考えているのか聞きたい。実際にどの領域にどのぐらいの規模で出てくるのか、分析する作業がこれから世界中で行われることになる。日経平均とTOPIXは3月に付けた安値をひとつのめどにせざるを得ない。

<FPG証券 代表取締役 深谷幸司氏>

前日までは米企業の好決算の見通しや、米中貿易摩擦が一服するとの期待感もあり、ドル買い機運がやや盛り上がりを見せていたが、今朝伝わった米国の対中追加関税のニュースで出鼻をくじかれた格好だ。リスク回避のムードが台頭し円が全面高になっている。

ただ、110円前半では、ドルの押し目買いニーズがあるため、大きくドル安/円高に振れるリスクは限定的と見ている。とはいえ、金融市場は改めて「トランプ・リスク」を認識させられた格好だ。

対中追加関税リストの公表を受けて、オフショア人民元が元安になっているが、米国との通商上の軋轢(あつれき)に対する防衛措置として、中国当局が人民元安を容認するとの見方が背景にある。

ただ、人民元は年初来の安値圏にあるものの、2016年末の安値には達しておらず、日々安値を更新しているわけでもない。

当局は中国からの資本逃避を誘発するような急ピッチの人民元下落を回避しつつ、元安のスピードを調整し、緩やかな人民元安を目指すとみている。

 7月11日、トランプ米政権は10日、追加で2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。写真は北京で4月撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

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