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焦点:原油価格の上昇、「インフレは一過性」に変化出るか

[ロンドン 6日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国が加わった「OPECプラス」の協議が物別れに終わったことで、原油価格は一時1バレル=80ドルをうかがう展開となり、2018年以来の高値を付けた。その後はやや伸び悩んだとは言え、現在近辺の水準が続いたり、さらなる上昇に向かったりすれば、「インフレは一過性の現象」と説明する米連邦準備理事会(FRB)などの論理にほころびが生じ、金融緩和の巻き戻しを求める圧力が強まるかもしれない。コロナ禍後の景気回復にも水を差しかねない。

 石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国が加わった「OPECプラス」の協議が物別れに終わったことで、原油価格は一時1バレル=80ドルをうかがう展開となり、2018年以来の高値を付けた。米テキサス州で2018年8月撮影(2021年 ロイター/Nick Oxford)

インフレの局面変化を見極める上での注目点をまとめた。

(1)石油価格の上昇ペース

石油価格の前年比上昇率は現在、過去40年余りで最も高くなっている。

北海ブレント原油は1バレル=75ドル前後と、絶対値こそ08年の半分程度だが、市場が恐れるのは上昇の急激さだとバークレイズのクリスチャン・ケラー氏は説明する。

ケラー氏は「上昇ペースは世界金融危機の後に比べても、ずっと急激だ」と述べ、たとえ一時的であっても想定を超える急上昇には警戒を口にした。

(2)価格は高止まりするか

投資家や中銀、政策立案者らは、最近のインフレ率の上昇が一過性のものか、それとも本物かについて議論してきている。

シティのインフレ・サプライズ指数は、米国では過去最大を記録し、多くの国々でも数年ぶりの高水準となっている。これはインフレ率の動きが予想を上回っていることを示す。

物価上昇圧力をもたらしているのは、供給のボトルネックや世界中の潤沢な流動性、食品を含むコモディティー価格の急上昇などの複合的要因だ。そこに原油価格の上昇が加わり、議論に新たな視点をもたらした。

UBSのマッシミリアーノ・カステッリ氏は「原油価格は一時的な物価上昇をもう少し中期的な性質に変える潜在性があるため、論点になってくる」と述べた。油価が100ドルに向けて上昇するようなら「予想物価上昇率に悪影響を及ぼしかねない」という。

(3)新興国市場を直撃

新興国市場の約80%(総生産=GDPベース)は石油輸入国だ。

多くの国々は物価バスケットに占める食品とエネルギーの割合が高いため、エネルギー価格の上昇に敏感に反応する。ロシアやブラジルなど、既に利上げを余儀なくされた国は何カ国もある。

シュローダーズのデービッド・リーズ氏の計算では、油価が100ドルに達すると新興国市場のエネルギー価格上昇率は20%を突破する可能性がある。こうした新興国経済がFRBのタカ派姿勢への変化を消化しなければならないタイミングであるだけに、景気回復には逆風だ。

(4)為替レートへの影響

油価が一段と上昇すれば、6月に過去最高値を付けた新興国市場通貨にとって下落要因となる。

インドやトルコなど石油輸入国の通貨が最も大きな打撃を被る可能性が高い一方、石油輸出国であるロシアのルーブルは上昇しそうだ。

米ドルへの影響はさほど明確ではない。過去の経緯を見ると、油価の上昇は米国の経常収支赤字を拡大させるためドルの下落要因だった。しかし米国は近年、石油の純輸出国に転じたため、方程式が変わっている。

(5)成長 VS インフレ

米国の直近のインフレ率は5%で、ユーロ圏は欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%弱近辺で推移している。

この水準は赤信号ではないかもしれないが、今は米中を中心に景気回復がピークを迎えたのではないかと懸念されている時期だ。

成長がなお加速している欧州でさえ、原油価格の上昇による影響は避けられないだろう。特に景気回復の要である個人消費が圧迫されそうだ。

大和キャピタル・マーケッツのクリス・シクルナ経済調査責任者は「石油価格の上昇は欧州にとっていわば税金であり、支出を締め出す可能性がある」と述べた。

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