for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:米債務上限巡り、与野党は再び瀬戸際の駆け引きへ

[ワシントン 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国では昔からメモリアルデーが夏の始まりとされてきた。今年早速到来した首都ワシントンの暑さは、連邦債務上限を巡ってかつて夏場に展開されてきた政治対立を再び呼び起こすことになるかもしれない。連邦債務の法定上限適用が8月1日に復活するからだ。折しもそのちょうど10年前、この問題の影響でS&Pが米国の格付けを引き下げた。

 5月24日、米国では昔からメモリアルデーが夏の始まりとされてきた。今年早速到来した首都ワシントンの暑さは、連邦債務上限を巡ってかつて夏場に展開されてきた政治対立を再び呼び起こすことになるかもしれない。連邦債務の法定上限適用が8月1日に復活するからだ。19日、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Joshua Roberts)

米政府が相次いで新型コロナウイルス経済対策を打ち出したため、足元の法定上限対象債務は28兆ドル(約3050兆円)余りになった。議会が2019年から続けてきた債務上限の適用停止措置が期限を迎え、この措置が発効する前に比べて借入額は6兆ドル増えた以上、与野党の政治家による言葉上の激しいやり取りが誘発されるのは間違いない。

10年前に与野党が繰り広げた瀬戸際の駆け引きは、今では古くさく見える。当時共和党が支配していた下院とオバマ大統領は財政赤字削減で真っ向から衝突し、2011年5月に連邦政府の借入額が法定上限の14兆ドルに達してしまった。その後財務省は資金をひねり出し、土壇場で与野党が合意して何とかデフォルトを回避したものの、S&Pは同年8月、最上位の「トリプルA」としていた米国の格付けを「ダブルAプラス」に1段階引き下げた。

S&Pが格下げした根拠の1つは、米国のガバナンスと政策決定に関する安定性と効率性が低下したということだった。そして幾つかの面で、今は状況が悪化している。例えば今年初め、トランプ氏は初めて2回の弾劾訴追を受けた米大統領になった。2回目の訴追理由は、連邦議会議事堂襲撃に絡む反乱の扇動だ。

その半面S&Pは、パンデミックと昨年の選挙で政治的怨恨が積もりに積もっている中でも、米政府機構の足場はしっかりしているとの見解を持つかもしれない。米連邦準備理事会(FRB)は独立性を脅かす数々の攻撃の矢をくぐり抜けて生き残ったし、勢力がほぼ真っ二つになった議会も各種経済対策を成立させたからだ。

この論理に従えば、今年の債務上限を巡る戦いはより「瀬戸際色」が強まるだけで、結局合意に至るはずだ。だが政府の借り入れは空前の水準に達しつつある。2020会計年度末の法定上限対象となる債務総額は国内総生産(GDP)の128%と、それまでのピークだった第2次世界大戦終了直後の1946年の118%を大きく上回った。今後金利が上昇すれば利払い負担も大きくなる。議会予算局(CBO)の見積もりでは、26年までに債務総額は34兆ドルに達しかねない。

それに極端な党派の争いが加われば、デフォルトに発展するような政治対立の発生を否定するのは10年前より現在の方が難しくなる。これが現実化する確率はまだ非常に低いとはいえ、政府借り入れについてワシントンに緊張がくすぶる状況は決して解消されないだろう。

●背景となるニュース

*米連邦政府債務の残高に対する法定上限適用停止措置が7月31日に期限を迎える。議会は伝統的に、歳出関連法案の可決に追加する形で、法定借入限度額を設定してきた。債務上限は約22兆ドルだった2019年以降、予算の法制化に伴って自動的に切り上がる仕組みとなった。上限の対象となる米公的債務総額は5月20日時点で28兆2000億ドル。

*議会が既に法制化した歳出をカバーするために上限をさらに引き上げないと、連邦政府機関が閉鎖される恐れがあり、米国がデフォルトに陥るのを防ぐ目的で財務省がいわゆる特例措置を行使する可能性が出てくる。

*イエレン財務長官は7日、新型コロナウイルスのパンデミックが存在する以上、特例措置を打ち出しても普段ほど持続力がないかもしれないと警告した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up