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米CPI、8月は前年比8.3%上昇:識者はこうみる

[13日 ロイター] - 米労働省が13日に発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.3%上昇と、伸びは7月の8.5%から縮小した。ただ予想の8.1%は上回った。

米労働省が13日に発表した8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比8.3%上昇と、伸びは7月の8.5%から縮小した。ただ予想の8.1%は上回った。3月29日撮影(2022年 ロイター/Andrew Kelly)

市場関係者の見方は以下の通り。

<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>

米消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を上回ったことで、米国のインフレはそう簡単には落ち着かないとの見方に投資家心理が傾いた。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが、もう一段階、強化されるとの見方に市場の目線は上がってきている。

9月米連邦公開市場委員会(FOMC)に加え、11月も0.75%との見方が出てきている。利上げの最終到達点についての市場の見方は、来年3月で4%を上回る水準へと、昨日一日で切り上がった。

市場ではインフレのピークアウトへの楽観的な思惑があったが、FRBのパウエル議長や高官らが指摘してきた通り、先行きは予断を許さない。FRBは今後の利上げペースを「データ次第」としており、9月FOMCを経ても相場はアク抜けしない可能性がある。

米国株が下落すれば、日本株にも波及せざるをえない。少なくとも年末辺りまではインフレの沈静化の道筋が見えるとは想定しにくく、米国株は往来を繰り返す可能性がある。日経平均は2万7000円で踏みとどまれるかが当面の焦点になりそうだ。

<三菱UFJ国際投信 チーフストラテジスト 石金淳氏>

米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回り、コア指数が上がり続けているのをみると、目先の株には強気になれない。内需面で賃金や帰属家賃の上昇が根強く、当初に市場で想定されていたよりは、インフレ鈍化のペースは緩やかになりそうだ。

ただ、過度に悲観する必要もないだろう。市場予想に対する多少の上振れ下振れは当然ある。基調的な流れは不自然ではなく、前年比ベースの上昇率は前月より低下した。

米株は、今週に米国のSQ(特別清算指数)算出を控え、やや過剰反応になったかもしれない。CPIを口実に手じまい売りが出たところ、オプションの投げが出るなど一時的な需給の崩れが大幅安につながったのではないか。

一方、ドル高/円安となっている。ドル/円が140円台で定着するなら国内の輸出企業にはかなりの増益要因となる。政府はインバウンドの本格再開を急ごうとしており、これも円安のメリットにつながる。日経平均はチャート的にも、200日移動平均線を75日線が上回るいい形になってきている。目先は2万7400円台を通る200日線が下値めどだろう。

9月米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今回示されるメンバーの政策金利予想が上方にシフトしているなら株価にネガティブになるため注意が必要となる。ただ、基調に大きな変化がない中で一段の利上げペース加速は想定しにくい。イベントを通過すればいったんアク抜けし、株高もあり得る。

<GCIアセットマネジメント ポートフォリオマネージャー 池田隆政氏>

今回の米消費者物価指数(CPI)では、コアCPIの伸びが全くピークアウトしていないことが確認された。労働需給がタイトな上にコアCPIも強く、消費も底堅いという点がリンクして、米連邦準備理事会(FRB)がますます金利を引き上げるのではないか、ということをマーケットは心配したようだ。

今は、CPIの高止まりが年末に向けて続くのではないかと市場は懸念している。利上げのピッチはトーンダウンするどころか、加速する可能性も意識される。今回のコアCPIの伸びについてパウエルFRB議長がどのような見解を示すか、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での発言が注目される。

昨日の米株安を受けて日経平均は大幅安となっている。短期的にはリバウンドもあるとみているが、米金融引き締めの加速懸念が重しとなり、基本的にはボックス圏での値動きを想定している。下値リスクにも警戒が必要で、目先の日経平均は2万7000円を割り込む展開も考えられる。

<ニッセイ基礎研究所 上席エコノミスト 上野剛志氏>

8月の米消費者物価指数(CPI)の総合指数は前月よりも鈍化したものの、市場予想を上回った。エネルギーと食品を除くコア指数も市場予想を上回る伸びとなった。品目をみるとエネルギーは下がっている一方で、サービスや食品は大幅に上昇している。全体として米国の物価上昇圧力の強さを示す内容だ。

物価の抑制を焦る米連邦準備理事会(FRB)に対して積極的な利上げを促す結果となり、CMEグループのフェドウオッチでは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では100ベーシスポイント(bp)の利上げが3割近く織り込まれている。市場では大幅な利上げの加速が織り込まれ、米金利は上昇し、ドル高が進み、米株価は急落した。

今回の米CPIは物価上昇率のピークアウトを確認する材料にはならなかったことから、当面はドル高/円安が進みやすい時間帯となる。20-21日開催の米FOMCは大幅な利上げが継続され、ドットチャートが上方修正される可能性がある。一方で、22日の日銀金融政策決定会合では現状の金融緩和を維持するとみられることから、日米金融政策の格差が意識され、投機的な円売りが膨らみやすい。

足元では145円をめぐる攻防となっているものの、来週にかけては同水準を突破し、147円が視野に入ってくる可能性が高い。

スピードを伴って円安が一段と進めば、日本当局による為替介入の可能性もでてくる。ただ、インフレ抑制のためドル高を好む米国との協調介入は考えにくい。ファンダメンタルズ的にドル売り方向に転じなければ、仮に単独介入に踏み切ったとしても、効果は出づらいだろう。

<JPモルガン証券 債券ストラテジスト 山本宏紀氏>

8月の米消費者物価指数(CPI)は前月比ベースでヘッドラインとコアのどちらも上振れたが、特にサプライズとなったのはコアの加速だ。株のみならず、金利サイドでも一定程度「今回のCPIは弱い」という考えがあったと思われるが、見事に期待を裏切られる結果となった。これを受けて米金利は短中期を中心に大きく上昇した。

今月の連邦公開市場委員会(FOMC)での100ベーシスポイント(bp)利上げを想定する参加者も一部いるようだが、6月のFOMC前のブラックアウト期間中のCPI公表時とは異なり、市場がパニック状態であるとの印象は受けない。

どちらかと言えば、1会合で未知の100bp利上げを行うのではなく、9月は75bp利上げを行って11月のFOMCでも75bp利上げを行う、また最大の焦点は1会合当たりの利上げ幅というよりターミナルレート、という考えの方がコンセンサスに近いのではないか。

とはいえ、FOMCまでは市場の織り込みに注意が必要だろう。ブラックアウト期間中であるため、連邦準備理事会(FRB)高官はオフィシャルなコミュニケーションチャンネルを通して市場の期待に働きかけることができない。

今のところ大きなサプライズになるとは考えていないが、あさって16日に発表されるミシガン大学サーベイのインフレ期待も市場では注目材料になってくるだろう。このほか、6月FOMCの際にいち早く方向性を報じたメディアの報道にも注意しておきたい。

<コーペイ(トロント)のチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏>

8月の米消費者物価指数(CPI)は予想をはるかに上回る強さだった。特に懸念されるのが、コア指数の前月比の伸びが予想のほぼ2倍になったことだ。これによりインフレが一過性という見方は一旦棚上げされ、米債利回りとドルの大幅な上昇につながる。来週に0.75%ポイントの利上げが実施されることがほぼ確実視されるほか、11月にも0.50%ポイント以上の利上げが実施される可能性がある。

<ケース・キャピタル・アドバイザーズ(フロリダ州ボカラトン)のマネジング・パートナー、ケン・ポルカリ氏>

想定内の結果だった。(20─21日のFOMCで)0.75%の利上げが決定されるのは完全に確定された。11月の会合で0.50%の利上げが決定されるのも確定的だと考えている。

14日に発表される8月の卸売物価指数(PPI)も過熱し、物価が連邦準備理事会(FRB)の措置に予想通りに早く反応していないことが示される可能性がある。

<スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カルディリョ氏>

8月米消費者物価指数(CPI)は失望的な内容だった。鈍化していたコア指数の伸びが加速に転じた。

これは連邦準備理事会(FRB)による積極的な動きが出てくることを示唆している。FRBが次の四半期にさほど積極的ではない利上げに戻る可能性はなくなった。おそらく11月に0.75%ポイントの追加利上げが実施され、12月にも追加利上げが実施されるかもしれない。

ヘッドライン指数は鈍化しているが、コア指数の伸び加速は鈍化トレンドを打ち破るため、FRBは積極的な姿勢を崩さないだろう。結論から言えば、より厳しいインフレとの戦いに向けたFRBの姿勢が強まるだけだ。

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