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焦点:米当局が個人監視対象を拡大、新たに国内出身過激主義者
2017年10月28日 / 02:10 / 25日前

焦点:米当局が個人監視対象を拡大、新たに国内出身過激主義者

[ワシントン 25日 ロイター] - 米国政府が、物理的もしくは電子的な監視対象となり得る市民の解釈を拡大して、「国内出身の暴力的過激主義者」を含めたことが、ロイターが閲覧した公式文書によって明らかになった。

 10月25日、米国政府が、物理的もしくは電子的な監視対象となり得る市民の解釈を拡大して、「国内出身の暴力的過激主義者」を含めたことが、ロイターが閲覧した公式文書によって明らかになった。写真は2015年7月、コロラドスプリングスの米空軍基地(2017年 ロイター/Rick Wilking)

米国防総省は、自らの情報収集活動における管轄手続きのマニュアルを昨年改訂した。連邦議会や裁判所による検証を受けずに、こうした変更が可能になったのは、数十年前に遡る大統領令によるものだ。

昨年8月に出された新マニュアルでは「外国のテロリストとの特別な関係が確認できない場合」でも、防諜目的で米国民に関する情報を収集することが認められた。米空軍特別捜査局(AFOSI)が昨年作成した研修用スライドによって明らかになった。

この研修用スライドは、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが麻薬対策・移民管理を目的とする監視に関する連邦法の運用について「情報の自由法」に基づく請求によって入手したもので、ロイターだけに特別に提供された。

空軍と国防総省は、この文書が本物であることを認めている。

このスライドでは、「国内出身の暴力的過激主義者」のカテゴリーに該当するものとして、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃撃事件や、フロリダ州オーランドで2016年6月に発生した同様の事件を挙げている。銃撃犯は犯行の直前、もしくは犯行の最中に過激派組織「イスラム国」への忠誠を宣言していたが、捜査官は、世界各地で民間人に対する銃器や爆発物による攻撃を行っている同組織との直接のつながりを発見できなかった。

国防総省で上級情報監督官を務めるマイケル・マハー氏は、「AFOSIをはじめとする軍防諜機関は、軍に関連する潜在的な状況が認められる場合には、現役軍人と米民間人双方を調査することが認められている」とロイターに語った。マハー氏によれば、民間人に対する調査は連邦捜査局(FBI)と協力しつつ行われるという。

1981年に当時のロナルド・レーガン大統領が署名し、その後ジョージ・W・ブッシュ大統領が修正した大統領令12333号は、CIAなどの米情報機関が外国人に対する頂上目的での調査を行うことができると定めている。この大統領令は同時に、防諜活動と定義される場合など、一定の事例において米国市民に対する監視を認めている。

国防総省の従来のマニュアル(1982年発行)における防諜活動の定義によれば、連邦政府は、監視対象が外国勢力又はテロ組織の目標に利するように働いていることを立証することを求められていた。

今回の定義の拡張が連邦政府による情報収集活動にどのような現実的影響を与えるかは明確ではない。空軍の研修用スライドの1枚には、解釈の見直しは複数の「重要な変化」の1つであると記載されている。

<闇に紛れて>

国家安全保障の元担当者は、一般論として、当局者が使える防諜用ツールを充実させることを支持するとしつつ、今回の変更は小幅な修正のようであり、情報収集活動に大きな影響を与える可能性は低いと語った。

だが、プライバシーや市民の自由擁護を訴える活動家の一部は、この研修用スライドを見て、この変更は警戒を要すると述べている。これにより、十分な監督のないまま、大統領令に基づいて監視される米国市民の数が増大する可能性があるというのだ。

この研修用スライドを最初に入手したヒューマン・ライツ・ウォッチで監視問題に取り組むサラ・セントビンセント氏は、「大統領令12333号に基づく活動は、闇に紛れて進められる」と述べる。

「米国民や外国人に対して影響を与えかねないプログラムは膨大にあり、(今回入手できた文書がなければ)私たちはこうした変更について何も知らないままだっただろう」と彼女は言う。

連邦法として70年前に採択された国家安全保障法では、重要な諜報活動については常に連邦議会に報告しなければならないと定めている。ただ同法では、「重要な諜報活動」の解釈を行政府に委ねている。

国防総省のマハー氏によれば、解釈見直しの契機となったのは、安全保障上の脅威となりかねない人間のなかには、「イスラム国」やボコ・ハラムといったグループと特につながりのない者も存在するという認識だったという。

マハー氏は、「インターネットとソーシャルメディアによって、テロ組織が直接的な連絡なしに支持者を過激化することが以前よりも容易になった」と話している。「そういう個人を監視ターゲットとするためには、柔軟性が必要だと感じた」

2016年8月、オバマ前政権が最後の数カ月にさしかかった頃、国防総省からの報道資料により、同省が情報収集手続の見直しを行ったことが発表された。しかしそこでは、「国内出身の暴力的過激主義者」への具体的な言及はなかった。

このマニュアルの改訂は、司法長官を含む司法省上層部によって承認され、政府系のプライバシー擁護機構である「プライバシー・市民的自由監視委員会」の検証を受けている。

マハー氏は、「国内出身の暴力的過激主義者」は、空軍の研修スライドでは例示されているが、国防総省が用いる公式用語ではないと話す。マハー氏によれば、誰かを新たな定義に基づく監視対象と認定するための具体的な特徴や行動のリストは用意されていないという。

マハー氏は、勘や直感だけでは情報収集を開始するには十分ではないと述べ、ターゲットが米国に害をなす国際テロ組織の目標に貢献しつつあるという「合理的な確信」が必要になるという。

国防総省の新マニュアルでは、「米国の国家安全保障に有害な目的をもって、国際的テロリスト又は国際的テロ組織の目標・目的のために行動し、又はこれを推進していると合理的に信じうる」ターゲットという表現を用いている。

マハー氏によれば、対テロリズムの調査においては、電子的な手段による監視に関して、国防総省のマニュアルに詳細に規定された制限の他に、外国情報監視法など監視に関する連邦法が引き続き適用されるという。

(翻訳:エァクレーレン)

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