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コラム

コラム:NY不動産市場に陰り、税収源で市財政直撃

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ニューヨークの不動産市場に陰りが差しつつある。世界中の投資家は、購入したい商業用物件を別の場所で探すようになり、絶好調だった住居用不動産市場も冷え込む兆しが出てきた。常に過熱気味の不動産取引に対する税収に大きく依存してきたニューヨーク市にとって、これは問題だ。

 ニューヨークの不動産市場に陰りが差しつつある。世界中の投資家は、購入したい商業用物件を別の場所で探すようになり、絶好調だった住居用不動産市場も冷え込む兆しが出てきた。写真はロックフェラーセンターの展望台から夕暮れのマンハッタンを眺める人々、6月28日撮影(2022年 ロイター/Athit Perawongmetha)

米国不動産外国人投資家協会(AFIRE)が調査した外国人投資家による商業用物件購入検討先の米国都市ランキングによると、ニューヨークは悲しいことに6位にとどまっている。首位はアトランタで、以下はオースティン、ボストン、ダラス、シアトルと続く。同協会のメンバーが運用する不動産は総額3兆ドルに上る。

調査回答者の3分の1以上は、ニューヨーク市への投資を減らす方針を示唆した。また、出勤とリモートワークを組み合わせるハイブリッド勤務の普及で、賃貸用の空きオフィス面積が拡大。現在の面積は約1億2500万平方フィートで、過去5四半期にわたってずっと高水準となっていることが、ニューヨーク市の会計監査官が公表した月次経済報告から分かる。

この報告を見ると、マンハッタン地区の事業所数は差し引きの減少規模が過去最大を記録。市全体の事業所数に占める同地区の比率が初めて50%を割り込んだ。物件所有者側が提示する賃貸料の平均も、コロナ禍前より低い。

分譲販売型の「コンドミニアム」と、居住者が結成した共同組合が所有・管理する「コーポラティブ(コープ)」の2種類があるマンハッタンの集合住宅の売れ行きでさえ、減速の兆候が見えてきた。

不動産仲介のダグラス・エリマンの算定した第2・四半期の販売価格中央値は130万ドル。最近の住宅ローン金利高騰を受け、買い手の5割以上が即金で支払うこの市場でも、不透明感が増している。

マンハッタンにおける新規契約件数は4月以降減少しており、6月は前年比約30%減った。価格が500万ドル以上のコープで契約の落ち込みがより大きい。

こうした状況を重大事態と受け止めるのは、ニューヨーク市のアダムズ市長だ。過去最高の1011億ドルもの予算を計上して財政運営を進めているアダムズ氏だが、それに見合うほどの歳入が入ってきていない。

このため2024年から26年までに市の財政赤字は平均で40億ドルに達すると予想されている。米連邦準備理事会(FRB)が13日公表した地区連銀景況報告(ベージュブック)には、ニューヨークの経済活動が「鈍化した」と記された。

市は税収の半分を不動産関連が占める以上、不動産市場がかつての強さを取り戻さない限り、「身の丈」に合った財政に軌道修正するしかない。

●背景となるニュース

*不動産仲介のダグラス・エリマンによると、マンハッタン地区の集合物件の新規販売契約件数は6月に前年比約30%減少した。

*ニューヨーク市の賃貸用空きオフィス面積は非常に高い水準のままで、過去5四半期はその状態がほとんど変わっていないことが、ランダー会計検査官が11日に公表した月次経済報告で明らかになった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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