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アングル:米企業がリセッション接近実感、経営トップの悲観見通し相次ぐ

[9日 ロイター] - 米企業がいよいよ景気後退(リセッション)の接近を実感し始めたようで、経営トップからは相次いで来年について悲観的な見通しが示されている。

 米企業がいよいよ景気後退(リセッション)の接近を実感し始めたようで、経営トップからは相次いで来年について悲観的な見通しが示されている。写真はシカゴのブラックフライデーセールで買い物をする男性。11月25日撮影(2022年 ロイター/Jim Vondruska)

主要企業経営者の団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が5日公表した調査によると、各企業は借り入れコストの急増に伴い、向こう半年の採用と設備投資の縮小を計画中。米連邦準備理事会(FRB)がインフレを退治するために進めている積極的な利上げが経済の足を引っ張り、企業が業績予想を下方修正するとともに、経費圧縮を迫られている構図だ。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、景気鈍化と物価高による消費減退を背景に来年はリセッションがやってくると警告した。またユナイテッド航空のスコット・カービーCEOはCNBCテレビのインタビューで、航空旅行需要が頭打ちとなりつつあるのはリセッションの予兆だと述べた。

Bライリー・ウエルスのチーフ市場ストラテジスト、アーサー・ホーガン氏は「現段階で来年の見通しに関するCEO発言が慎重なのは理にかなっている。FRBのインフレとの闘いが経済をどこまで減速させるのか非常に不確実性が大きいからだ」と指摘した。

幾つかの大手米銀は既に顧客に対して、経済の先行き悪化がすると注意を呼びかけており、その一部は完全なリセッションの到来も示唆している。ロイターが8日公表したエコノミスト調査では、来年の米成長率は今年見込みの1.9%から0.3%に下振れると予想されている。来年のリセッション突入確率は6割という。

ウォルマートのダグ・マクミロンCEOはCNBCテレビで、財布のひもをさらに締めている同社の顧客にとっては、景気下振れはインフレを和らげるためのいわば必要悪だとの考えを披露した。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、ペプシは本社部門で数百人相当のレイオフを検討している。景気の先行き不透明感が広がる中で、人員削減に乗り出している企業はほかにも多いとみられる。

<業績予想下振れ>

リセッションの兆しを受け、米企業の業績予想も切り下がってきた。今年第4・四半期にはS&P総合500種企業が2年ぶりに減益となる見通しだ。

リフィニティブのIBESデータに基づくと、来年のS&P総合500種企業の増益率も今年見込みの5.8%から4.9%に鈍化する。

一方JPモルガンのチーフ・グローバル市場ストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は「今後の景気下押しの到来時期や程度は非常に不確実性が大きいが、それに対する反応は実体経済そのものよりも金融市場の方が素早く、より荒っぽくなるかもしれない」と述べた。

実際FRBの急速な利上げにより、今年これまでにS&P総合500種は約17%下落。年末までに最後の大幅な反発がない限り、年間ベースでは過去4年で最悪の値動きになりそうだ。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「(企業トップの)警戒的なコメントが続いていることで投資家は株価の全面的な反発に懐疑的になっている。またそれが最近の相場上昇が強い勢いを得られない一因だ」と説明した。

(Medha Singh記者)

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