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コラム

コラム:一筋縄では行かない女性の就労促進政策

8月4日、トランプ米大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカさんは、新たな子育て減税を提案しているが、それも予期せぬ結果を生む可能性がある。写真は2日、ホワイトハウスで開かれた軍幹部の配偶者とのミーティングに参加するイバンカさん(左)(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「女性に優しい」雇用促進政策は、必ずしも看板通りの成果を上げないことが多い。米国の7月失業率は、この16年で最低の4.3%だったが、女性の就労は過去と比べて活発とはいえない。トランプ米大統領の長女で大統領補佐官を務めるイバンカさんは、新たな子育て減税を提案しているが、それも予期せぬ結果を生む可能性がある。

7月の米国全体の労働参加率は62.9%とやや上昇したが、女性では約57%と、60%前後だった1990年代後半から2000年代初めにかけてと比べ低下している。イバンカさんの提案は、年収が25万ドル(約2700万円)未満の場合、課税所得から子育て費用を控除するという内容だ。米国の超党派組織の税政策センターの試算では、この控除の恩恵の70%は世帯所得が10万ドル以上の家庭に行く計算で、中間所得者層の支援としては不十分だ。

日本が教訓を提示している。安倍晋三首相は2013年、労働者の高齢化を補うため、女性の就労促進策を導入した。保育園費用などの補助金を拡大し、有給の出産・育児休暇取得を支援した。2016年には、女性の労働参加率は3ポイント上昇した。だが、文化的なバイアスの変化は遅く、政府は2020年までの管理職の30%を女性にするという当初の目標を、7%に引き下げざるを得なかった。パートタイム雇用や契約社員は、いまだに女性が大半を占めている。

一方チリでは2009年、女性社員が20人以上いる企業に対し、子どもが2歳になるまでの子育て費用を負担するよう義務付けた。2016年までに女性の労働参加率は約6ポイント上昇したが、雇用主側のコスト増が、女性の給与を直撃した。

世界銀行によると、エストニアでは、欧州でも出色の就労プログラムがあるにもかかわらず、女性の労働参加率は2011年以降足踏みしている。

イバンカさんの提案には、雇用主に有給の出産休暇の導入を義務付けることも含まれている。米国は、経済協力開発機構(OECD)加盟国で唯一、そうした義務付けがない国だ。2035年までにベビーブーマー世代の約800万人が労働力人口から「退職」し、一方でトランプ大統領が移民の制限を強化する方針を掲げていることを踏まえれば、より多くの女性に就労を促す方法を検討するのが賢明だ。

外国政府の成功例と失敗例を検討することは、ワシントンの政策担当者が失策を避けるうえで有益だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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