[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日に発表した5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.6%上昇と、市場予想の0.4%上昇を上回った。
4月のCPIは0.8%上昇と、2009年6月以来の大幅な伸びだった。
5月の前年同月比は5.0%上昇し、08年8月以来の大幅なプラスとなった。市場予想は4.7%上昇だった。4月は4.2%上昇していた。大幅な伸びは、昨年春の軟調な物価が計算から外れたことが一因だ。こうしたいわゆるベース効果は6月に薄れる見通し。
雇用は依然として20年2月のピークを760万人下回っているものの、雇用主は適切な人材を探すことに苦労しており、賃金を上げている。こうしたことからも物価が上昇する可能性がある。求人数は930万件と、過去最高水準にある。
賃金は前月比0.5%増と、底堅く伸びた。娯楽や外食・宿泊部門の伸びが目立った。
物価上昇の加速は金融政策に影響しない。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、物価の急上昇が一時的な現象となると繰り返している。FRBは昨年、政策金利をゼロ近辺に切り下げ、月々の債券購入を通して経済へ資金をつぎ込んでいる。物価上昇率がFRBの柔軟な平均インフレ目標である2%を長期間下回っていたことを相殺するために、しばらくは目標を超えることを容認する姿勢を示している。
FRBが物価を判断する上で注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数は4月に前年同月比3.1%上昇し、1992年7月以来の大幅な伸びとなった。
ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「物価上昇率はまだピークに達していないが、今四半期中に達するだろう。ただ既存の圧力を踏まえると前年比ベースの物価は21年を通して高止まりするとみる」と話した。
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