[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日に発表した1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比7.5%上昇し、伸び率は1982年2月以来、約40年ぶりの大きさとなった。上昇率は4カ月連続で6%を超えた。21年12月は7.0%だった。
1月の前月比は0.6%上昇。昨年12月も0.6%上がっていた。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は、前年同月比が7.3%上昇、前月比が0.5%上昇だった。
1月のCPIの上昇率が約40年ぶりの大きさとなったことで、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げるとの観測がさらに高まった。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのエコノミスト、アレクサンダー・リン氏は「FRBにとって、今回のCPIは新たな警鐘となった。インフレ率は至るところで存在感を示し続けている」と指摘。「今回のCPIはFRBがより迅速に動くことを是認するものであり、FRBが次回会合で50bpの利上げを決定するよう市場が働きかける可能性がある」と述べた。
1月の内訳では食品価格が前月比0.9%上昇。そのうち家庭で消費される食品は1.0%上昇した。穀物やベーカリー製品、乳製品、果物、野菜などが力強く上昇したほか、肉類も緩やかに上昇した。
また、電気代が4.2%上昇し、ガソリンや天然ガスの下落を相殺した。
1月のCPIからは、2019年から20年の消費者支出データに基づいて再加重されるようになった。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で支出がサービスからモノへとシフトしたことが原因で、経済は高いインフレ率に悩まされている。何兆ドルものパンデミック対策費が消費者の支出を押し上げたが、新型コロナの影響で生産や消費者への商品提供に必要な労働者が不足し、生産能力が制約を受けた。
インサイト・インベストメント(ニューヨーク)のポートフォリオマネジャー、スコット・ルースターホルツ氏は「FRBは、最初の利上げで過度のボラティリティーを生じさせたくない。それはさらなる引き上げを困難にするだけだ」とし、「むしろFRBはインフレを抑えるために、会合ごとに引き上げペースを加速させるように誘導する可能性のほうが高いだろう」とコメントした。
一方、JPモルガン・アセットマネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デビッド・ケリー氏は「この環境下でFRBが過剰に反応して過度に大幅かつ迅速な引き締めに着手すれば、インフレ率の低下とともに成長率が大幅に鈍化したまま年末を迎えることになるかもしれない」とした。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月より6.0%上昇し、伸び率は1982年8月以来の大きさだった。12月は5.5%上がっていた。
1月のコア指数の前月比は0.6%上昇した。昨年12月も0.6%上がっていた。1月は家賃が0.5%上昇と01年5月以来の大幅な伸びとなったほか、家庭用家具や業務用品、中古車、トラックも大幅に上昇。医療費は0.7%上昇した。新車は横ばいだった。
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