[ロンドン 26日 ロイター] - 米経済は今、急成長する消費セクターと、はるかに遅いスピードで成長する企業セクターという2つの部分にはっきりと分かれている。それは第2・四半期国内総生産(GDP)速報値でも確認された。
米商務省が26日発表したGDP速報値によると、実質個人消費の前期比年率は4.3%増と、第1・四半期の1.1%増から加速し、2017年第4・四半期以来の高い伸びとなった。また耐久財、非耐久財、サービスの各分野で幅広く上向いた。
対照的に企業設備投資は年率0.6%減と、16年第1・四半期以降で最も低調だった。
対外貿易や在庫、政府支出がもたらす短期的な振れを除外し、景気の基調的な勢いを判断する上で最適とされる国内民間最終需要は、第1・四半期の1.6%増から3.2%増に高まった。
雇用や賃金伸び率、消費者信頼感が高水準で推移し、株価上昇が続いていることが、非常に活発な個人消費を支えている。
ただ中国との貿易摩擦と将来の成長減速もしくは景気後退に対する懸念を背景に、企業は投資に踏み切れない。
GDP以外の幅広い指標からも、消費セクターと企業セクターの温度差がうかがえる。
例えば輸送サービスの乗客数は年初以降拡大しているが、貨物取扱量はほぼ横ばいだ。小売売上高は堅調で勢いが強まっている一方、製造業の生産は停滞し、購買担当者景気指数(PMI)は業況が16年以降で最もさえないことを示すとともに、建設活動は落ち込んでいる。
こうした中で米連邦準備理事会(FRB)は今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げするとの見方が大勢だ。
利下げは、今の製造業と建設業を中心とする企業セクターの弱さがより規模の大きい消費セクターとサービスに波及するのを防ぐ必要がある、という理屈が大義名分となる。
早めかつ積極的な利下げは、1998年がそうだったように米経済が景気後退に陥るのを避ける上で効果を発揮する可能性がある。
しかし、消費サイドの勢いが非常に強い以上、利下げは消費者と企業の借り入れを持続不可能な水準まで高め、その結果として経済を悪化させる事態を招く危険もはらんでいる。
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