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焦点:米大統領令、感染リスク高い仕事拒否でも失業手当の受給可能に

[1日 ロイター] - 米国で新型コロナウイルスの流行が続く中、一時解雇された労働者が雇用主から営業再開や事業拡大に向けて職場復帰を要請された場合、難しい選択を迫られる。要請に応じてコロナに感染する可能性が高い職場に戻るか、給与のみならず失業手当の受給資格も失う可能性を承知の上で要請を断るか、どちらもリスクが伴う。

 2月1日、米国で新型コロナウイルスの流行が続く中、一時解雇された労働者が雇用主から営業再開や事業拡大に向けて職場復帰を要請された場合、難しい選択を迫られる。写真はバイデン米大統領。ワシントンで1月撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

しかし、バイデン大統領が就任直後に署名した大統領令は、コロナ感染のリスクが過度に高い仕事をやめたり拒否した場合でも失業保険の受給資格を維持することを容易にした。

米国では1800万人以上が何らかの公的な失業者支援を受けている。

大統領令は労働省に対し、安全ではない労働条件を理由に仕事を拒否する労働者でも失業保険を受け取れることを明確化するよう指示している。同省の報道官はロイターに、大統領令に従い、指針を出したり政策を説明するのに使う「失業保険制度レター」を策定していると述べた。

労働省はまた、先月29日に、雇用主が従業員を新型コロナからどのように守るかについて、勧告を含む新たなガイダンスを出した。

米国のコロナ感染者は累計で2500万人を超え、死者は43万3500人以上に上っている。

カリフォルニア大学バークレー校労働センターのトップ、ケン・ジェイコブス氏は「多くの人が職を失い、誰もが必死に仕事を求めている時期であるため、他に選択肢はないと思って危険な環境で働く状況に陥りやすい」と指摘。

労働者に安全ではない仕事を拒否する権利を保障し、拒否した人に十分な資金支援を行うことが「非常に重要」だとした。

センチュリー財団のアンドリュー・ステットナー上級研究員は、コロナへの懸念が理由で仕事を断ったために失業手当の受給資格を失った人が何人いるのかは不明だと説明。それでもなお、新たな指針は州ごとに異なる対応に代わり、労働者に最低限の保護を与えるという。同氏は「失業給付の受給者にとっては、職場復帰のオファーを拒否できるかどうかの理解が極めて不明瞭だった」とした。

アナリストによると、数週間内に公表される見込みの連邦政府の新たな指針は、年齢や健康状態、新型コロナ対策の不備によって大きなリスクにさらされる仕事を断った場合でも失業手当を受給する資格があることを、州政府や労働者に周知徹底することが狙いになるとみられる。

<高リスク業種の状況改善も>

最近の2つの調査に基づくと、新たな指針はレストランなど他人と接近する必要がある業種で働く人の状況を大きく変える可能性がある。

保険会社インディペンデンス・ブルークロスと米ウォートン・スクールの研究チームがパンデミック(世界的大流行)の発生当初数カ月にペンシルベニア州で実施し、今週公表した調査によると、必要不可欠な業種の労働者は自宅待機の人に比べて、感染する確率が55%高かった。

カリフォルニア大学バークレー校が先週公表した別の調査では、労働年齢のカリフォルニア州市民の2020年の死者数は、過去の傾向に基づく予想値より22%多く、特定の業種に集中していた。

例えば、食品業・農業の労働者の死者数は予想値よりも39%多く、医療従事者は20%多かった。

論文の執筆者の1人は、医療現場はレストランなどにくらべて防護が徹底されている可能性が示されたとした。

バークレー校のジェシー・ロススタイン教授はバイデン政権の新たな指針によって、少なくとも一部の高リスク業種の労働者は失業保険の受給を継続しながら安全ではない仕事を回避できるようになるかもしれず、企業には職場の安全性を高めるよう圧力が掛かることになると分析。「われわれには基準が必要だ」とし、「労働省は過去1年、職務を果たしてこなかった」と述べた。

(Ann Saphir記者、Jonnelle Marte記者)

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